2019年7月26日(金)
最低賃金
大幅引き上げと地域格差是正を
日弁連と36弁護士会 会長声明で訴え
日本弁護士連合会と全国36の弁護士会が、最低賃金(最賃)の大幅な引き上げを求める会長声明を出していることが本紙の調べで分かりました。すべての声明が現状の最賃ではまともな生活ができないと指摘。地域間格差を問題視し、大幅引き上げのために中小企業への支援策を求めています。
最賃は現在、中央最低賃金審議会で、各地域ごとに示す引き上げ額の目安について審議しています。
日弁連は、最賃の平均時給874円について、「労働者が賃金だけで自らの生活を維持していくことは到底困難」であり、政府目標の1000円でも、「ワーキングプアと呼ばれる年収200万円をわずかに超える程度」と指摘しています。
札幌、山口、佐賀、鹿児島の弁護士会は、「賃金が高い都市部へ若者が地元を離れてしまう」として、すみやかに時給1000円を主張。札幌、仙台の弁護士会は、「全国一律」にすることにも言及しています。
静岡県弁護士会が“隣接する神奈川県と時給で125円も差がある”とするなど、多くの弁護士会が人口流出・労働力不足を招いていることを問題視しています。
沖縄弁護士会は、全国加重平均が1000円になっても、沖縄が1000円になるのは「まだまだその先」になると訴えています。
仙台、京都、佐賀の弁護士会は、中澤秀一静岡県立短大准教授が監修した全労連の最低生計費調査に言及。同調査は、生活にかかる費用は地域に格差がなく、生活には時給1500円程度が必要だと明らかにしています。
最賃が生活保護より低くなる「逆転現象」について厚労省が解消したとしていることにも、神奈川県弁護士会は、東京に次ぐ983円の神奈川でも実質的に解消されていないと批判しています。
審議の公開を求める意見もあがり、東京、山口の弁護士会は、非正規雇用労働者の代表を委員にすべきだと求めています。
声明を出している各地の弁護士会
札幌/青森/岩手/仙台/秋田/山形/福島/東京/神奈川/茨城/栃木/群馬/山梨/静岡/長野/新潟/岐阜/金沢/福井/滋賀/京都/大阪/兵庫/和歌山/島根/岡山/広島/山口/愛媛/福岡/佐賀/長崎/熊本/宮崎/鹿児島/沖縄