2019年7月25日(木)
ハンセン病家族訴訟 首相が面会・謝罪
全被害者の一律補償を
原告ら早期の実現を訴え
国の誤ったハンセン病隔離政策で、患者の家族が深刻な差別を強いられ続けた被害を訴え、国の加害責任を認める熊本地裁判決を勝ち取ったハンセン病家族訴訟の原告団、弁護団は24日、官邸内で安倍晋三首相と面会しました。原告らは政府が同判決の控訴を見送ったことを踏まえ、被害者全員一律の補償制度を早期に創設するよう求めました。
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同日午前、多くの支援者に見送られながら26人の原告らが官邸入りし、安倍首相と対面。首相は、隔離の差別と偏見が家族にも向けられ、多大な苦痛を強いたことに対し、「心からおわび申し上げる」と謝罪しました。
その上で、家族との協議の場を速やかに設けると約束し、訴訟外の被害者を含む補償措置を講じる方針を説明しました。
「順番が逆だ」
面談後の記者会見で、黄光男(ファン・グァンナム)原告副団長は、「心にしみる(謝罪の)言葉だった」と面会の実現を喜びつつ、判決後、控訴断念を訴えるため何度も首相らに面会を希望しながら、会えなかったことを指摘。「私たちの声を聞いた上で、控訴しませんと決断するべきだ。本来の順番が逆だったのでは」と語りました。
宮城賢蔵さん(71)=沖縄県東村=は、地裁判決で同県における被害認定が祖国復帰の1972年以降に限定されたため、米軍施政権下当時や戦前の差別被害が認められないことに対し、「全国のみなさんと一律に補償してほしい」と、直接求めたことを明かしました。
4歳の時に隔離された両親と引き離され、父とは再会を果たせず死別した鹿児島県奄美市の奥晴海さん(72)。地裁が隔離を違法と認めたのは、父の死後の1960年以降だったことにふれ、「父を失った被害が否定された。首相には、もう一歩踏み込んで全ての原告が納得のいくよう差別のない社会をつくってくださいとお願いしました」と話しました。
立法化支援を
今後に向けて弁護団の徳田靖之共同代表は、訴訟で賠償請求を棄却された20人を含め全員一律100万円の補償について「何としても実現しなければならない」と強調。林力原告団長は「首相に思いを届けることができたから、今度は社会の中に私たちの思いを届けていかなければ」と、今も残るハンセン病への差別、偏見の解消へ取り組む決意を訴え、支援を呼びかけました。
同日夕、原告らは根本匠厚生労働相とも面談。超党派の「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」に対し、全員一律の被害回復をはかる補償立法に向けた支援などを要請しました。日本共産党からは高橋千鶴子、赤嶺政賢、畑野君枝の各衆院議員、山添拓参院議員が出席しました。