2019年7月12日(金)
自民党の政見放送
事実ねじ曲げ、野党を攻撃
自民党の政見放送が、国民の間で広がる年金不安に真正面から向き合わず、年金問題を野党攻撃の材料に使う異常な内容になっています。
政見放送では、安倍晋三首相と三原じゅん子参院議員が対談。三原氏が安倍首相をひたすら持ち上げ、「一部の野党は、大切な年金を政争の具にし、具体的な政策も示さないまま、不安をあおるだけの議論に終始している」などと批判しています。これは安倍首相が各地の街頭演説で野党攻撃するのと同じ内容。しかし、事実はまったく違います。
悪質なデマ
日本共産党は、暮らせない年金の実態に対し、自動的に年金を削減するマクロ経済スライドを廃止し、「減らない年金」にすることを提案。その財源案も具体的に示しています。この間の党首討論で、日本共産党の志位和夫委員長が安倍首相に「検討したのか」と提起までしていますが、安倍首相は何ら答えないまま。「対案を示さず不安をあおる」などというのは悪質なデマの類いで、公共電波を使ってふりまくのは有権者をばかにするものです。
また安倍首相は、「恥を知れ」と野党をののしった三原氏の参院本会議での演説を取り上げて、「すごい迫力でしたね。国民の代表としての自覚、国会で議論に臨む姿勢、非常に印象的でした」などと絶賛しました。しかし三原氏の発言は、野党の首相問責に対し、まともな論理もなく政治的品性に欠けると批判されており、政党としての見識が問われます。
不安に応えず
さらに安倍首相は、「今世紀最高水準の賃上げが実現した」など都合のいい数字を並べてアベノミクスの成果を誇示しました。
しかし、安倍首相の言う賃上げは、「物価上昇分も含めた名目」と「年齢や勤続年数に応じて上がる定期昇給も含む賃金」という「二重の上げ底」の数字。実際には、実質賃金は年10万円も落ち込み、2014年の消費税8%を契機に家計消費は年25万円も減っています。2月の衆院予算委員会で日本共産党の志位委員長に批判されて、反論できなかったものです。
多くの国民が不安を抱く消費税10%増税についても、政見放送ではまともな説明をしていません。消費税8%増税の打撃から回復していないのに、消費税10%増税を強行すれば景気の底が抜ける―。国民の不安にまともに応えず、自らに都合のいい数字を並びたてる姿は、あまりに異様です。