2019年7月3日(水)
年金7兆円削減 政府 公式に認める
「マクロ経済スライド」 志位委員長の質問主意書に
安倍晋三内閣は2日、日本共産党の志位和夫委員長が6月20日に提出した質問主意書に対する答弁書を閣議決定し、このなかで年金を自動削減する「マクロ経済スライド」によって、基礎年金(国民年金)が最終的に毎年7兆円削減されることを政府として初めて公式に認めました。(質問主意書・答弁書)
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「マクロ経済スライド」をめぐって安倍首相は、6月19日の国会の党首討論で志位氏が廃止を迫った際、突如「廃止には7兆円の財源が必要」と答弁。志位氏は質問主意書で、7兆円が必要との認識に間違いがないかただすとともに、7兆円の根拠を具体的に示すよう求めていました。
答弁書は、2014年の年金財政検証が、マクロ経済スライドによる調整(減額)が終了する43年には、基礎年金の所得代替率(現役世代の手取り収入額に対する年金額の割合)が36・8%から26%に下がり、そのことによって基礎年金給付額は17兆~18兆円になると見込んでいたと指摘。「所得代替率が14年度から43年度にかけて低下すると見込まれるのは、マクロ経済スライドの適用によるものであるため、仮にマクロ経済スライドの適用がなかった場合、調整終了年度の基礎年金給付額は約4割増加すると考えられる」と明記しました。
そのうえで、この4割を用いて、マクロ経済スライドを適用しなかった場合の43年度の基礎年金給付額を算出すると「マクロ経済スライドの適用があった場合と比べて約7兆円増加すると見込んでいる」としました。
志位氏は閣議決定を受けて同日、日本共産党本部で記者会見を開き、「“7兆円増加する”という書き方をしているが、『マクロ経済スライド』をやれば7兆円減るということと同じ意味だ。『マクロ経済スライド』で基礎年金が7兆円減ると、政府として初めて公式に認めた文書であり、きわめて重大な内容だ」と強調しました。
志位氏は、基礎年金が約3割、7兆円減らされれば基礎年金の満額は6万5千円から4万5千円になると指摘。「年金制度は持続しても暮らしは壊れてしまう。マクロ経済スライドを続けて7兆円の年金を減らすのか、それともこの制度を廃止して『減らない年金』にするのかが、年金問題の大争点だということが、きょうの答弁書でいよいよはっきりした」とし、参院選で大いに論陣を張っていく意気込みを表明しました。
志位氏は、高額所得者優遇の年金保険料の見直し、約200兆円の年金積立金の計画的取り崩し、賃金引き上げと非正規労働者の正社員化による担い手の強化を進めれば、マクロ経済スライドを廃止しても年金制度を持続させることは可能だと力説しました。
「減らない年金」へ署名
日本共産党は、「『減らない年金』『頼れる年金』を求める請願」署名の運動を始めました。署名は衆参両院議長あてです。署名を積極的に広げ、政府に迫ろうと呼びかけています。
署名用紙は、日本共産党中央委員会ホームページからダウンロードできます。(署名用紙)