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2019年6月18日(火)

主張

大阪北部地震1年

命と財産を守る対策を強めよ

 6人の命が奪われ、300人以上が負傷した大阪北部地震の発生からきょうで1年です。最大震度6弱の強い揺れが大阪市北区、高槻市、枚方市などで観測され、住宅をはじめ被害を広げました。発生時刻が通勤・通学時間のピークと重なったため駅に人があふれ、交通機関も終日ストップするなど都市機能に重大な支障が出ました。直下型地震のこわさを改めて示しています。教訓を生かし、住民の命と財産を守るため、さらに備えを強めることが重要です。

不可欠な危険箇所の点検

 亡くなった6人のうち2人は倒れたブロック塀による犠牲です。高槻市の小学4年生の女児は通学途中、小学校のプール脇のブロック塀が倒れ、下敷きになりました。大阪市の80歳の男性は子どもの見守りボランティアに向かっていた時、民家のブロック塀が崩れ、巻き込まれました。安全であるべき通学路や地域の道路で、命が失われたことは、極めて深刻です。

 ブロック塀の安全については1978年の宮城県沖地震の際にブロック塀倒壊で多くの死者が出たことなどで早くから問題が指摘されていましたが、抜本的な対策は取られてきませんでした。文部科学省は、大阪北部地震での女児の犠牲を契機に、全国の国公私立の幼稚園、小中学校、高校など約5万1千校で塀についての緊急調査を初めて実施し、約1万2600校で安全に問題のあるブロック塀があることが判明しました。

 この結果を受け、全国の自治体で危険な塀の撤去などがすすめられましたが、まだ万全ではありません。共同通信の調べでは、全国20政令市のうち、危険なブロック塀があった市立小中高校の6割以上で対策が終わっていませんでした(神奈川新聞15日付)。財政問題がネックといわれており、国の補助の継続など一層の支援は欠かせません。学校の塀などにとどまらず、通学路などの危険箇所を、地域の人たちの知恵と力も借りながら日常的に点検し、必要な改善をはかっていくことが必要です。

 大阪北部地震は、現在の被災者生活再建支援法では、被害実態に見合った支援ができないことが浮き彫りになりました。住宅被害は全壊、半壊、一部損壊を合わせると5万5000棟以上ですが、その99%は一部損壊で被災者生活再建支援法では支援の対象になっていないからです。住民の要求や、日本共産党の要請などで府や市は独自の補助を実施したものの、国の仕組みの抜本的見直しや法改定が急務であることは明らかです。

 支援金も全壊などに最大300万円という現行制度では不十分です。被災者生活再建支援制度の見直しは、全国知事会が昨年11月に国に要望した他、少なくない地方議会が改善を求める意見書を可決しています。支援金を当面500万円へ増額することや、支援対象を広げる改革は待ったなしです。

政治が役割を果たす時

 大阪北部地震の約3カ月後の9月、北海道胆振地方で最大震度7の地震が起きました。日本には分かっているだけで約2000の活断層があり、どこでも大きな地震に見舞われる危険があります。梅雨もこれから本格化する中、豪雨への備えも欠かせません。災害が従来と異なる規模と様相で相次ぐ日本列島で、災害から国民を守るため政治が役割を果たす時です。


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