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2019年6月11日(火)

論戦ハイライト

貧しい年金 立て直しこそ

自己責任押しつける 安倍首相と対決

小池氏決算委質問

 金融庁の金融審議会の報告書で“退職後30年間で2000万円不足する”と記載された公的年金制度。日本共産党の小池晃書記局長は、10日の参院決算委員会で、ささやかな暮らしさえ保障できない年金制度の問題点を指摘し、年金額の支給額を減らすマクロ経済スライドを続ければ「不足は3600万円になる」と同スライド制度の廃止を求めました。


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(写真)安倍首相らに質問する小池晃書記局長(右)=10日、参院決算委

1日800円の娯楽費ぜいたくか

 「今の年金水準では、夫婦で2千万円も赤字になると認めながら、まともな手だてを打っていない。いまやるべきは『年金をあてにせず貯金せよ』ではなく、貧しい年金制度の立て直しだ」―。小池書記局長の追及は、老後の安心な生活を支える公的責任を果たさず自己責任を押し付ける安倍政権との対決を鮮明にしました。

 小池氏はまず、政府がこれまで「厚生年金は必要な生活費をまかなうもの」(安倍晋三首相)と説明してきたにもかかわらず、今回の金融庁の報告書は、厚生年金でも月平均5万5千円も生活費に足りず“老後30年間で2千万円不足する”と試算したと述べ、低すぎる公的年金の実態を認めたものだと指摘しました。

 そして、金融庁を所管する麻生太郎財務相が「より豊かな生活のためには5万円足りない」と述べていることについて、小池氏が、「より豊かな生活のための支出とは何か」と繰り返しただしましたが、誰もまともな答弁ができませんでした。小池氏は、厚労省が「厚生年金でカバーしないのは、娯楽費と交際費」と説明していると明かし、高齢夫婦の娯楽費は総務省の調査で月2万5千円、交際費は月2万7千円だとして、「1日わずか800円の娯楽費がぜいたくか」と迫りました。

 小池 日本の公的年金は、こんなささやかな暮らしも支えられないのか。趣味もひかえ、友だちとの付き合いもやめ、家でじっとしていなさいと言うのか。

 首相 高齢期の生活は多様で、収入や資産の状況もさまざまだ。平均値を出すことに意味があるのか。

 無責任に答弁する首相に、小池氏は「政府が平均値で5万円不足しているとしたのではないか。無責任だ」と厳しく批判しました。

マクロスライド直ちにやめよ

 小池氏は、「5万円が不足するのは現在の年金受給者だ。今後の年金水準はさらに低下する」と指摘。年金を自動削減する「マクロ経済スライド」の発動などで、すでに安倍政権の7年間で実質計6・1%も大幅削減したと批判しました。

 金融庁の報告書では、「マクロ経済スライドによる給付水準の調整が行われる」結果、公的年金では満足な生活ができなくなると認めており、厚労省も「マクロ経済スライドにより年金水準が調整され、私的年金の重要性が増す」と会議で報告しています。

 小池氏は「このままではいまの現役世代が年金受給者になった時に必要な貯金は2千万円ではすまなくなる」と指摘。マクロ経済スライドによる年金削減が2043年まで続くことで、現在41歳以下の人が受け取る年金は月4万5千円減、30年間では1620万円減となり、2千万円どころか3600万円も不足することを明らかにし、マクロ経済スライドをただちにやめるよう迫りました。

 これに対し、安倍首相は「年金制度の持続可能性のためだ」と年金削減を正当化しながら、「今年度は0・1%上げた」と自画自賛しました。

 小池氏は「物価は1%上昇したのだから、上昇分を反映せず、実質引き下げだ。年金受給者の生活水準は低下する。胸を張って言うような話ではない」とぴしゃり。

 小池氏は、貯蓄ゼロの高齢者世帯が3割を超えているのに、低年金を解決するための手だても打たず、年金削減を続ける無責任な姿勢を厳しくただしました。

財源を示し党の底上げ案示す

 小池 「100年安心の年金」と言っておきながら、いつのまにか年金はあてにするな、自己責任で貯金せよとなっている。国家的詐欺に等しいやり方だ。いま政府がやるべきことは「貯金せよ」ではない。貧しい年金制度を立て直すことだ。

 首相 マクロ経済スライドで給付とバランスが均衡する。この方法しかない。どうすればいいとおっしゃるのか分からない。

 答弁不能になって開き直る安倍首相に、小池氏は「総理の考えている『100年安心』は“年金制度さえ保てば国民の暮らしはどうなってもいい”ということだ。『月5万5千円』の差額をどうするのか。低年金の人たちの暮らしに対して何の手も打っていない」と厳しく批判。首相は、マクロ経済スライドで「(給付が)増えるとは一言も言っていない」と年金削減を認める一方、国民生活を守る打開策を何ら示しませんでした。

 小池氏は「こんな貧しい年金をそのままにしていたら、将来不安をあおり、内需を冷え込ませる。このうえ消費税を増税すれば、くらしも景気も大破綻になる」と強調。「どうすればいいのか」と逆質問した首相に対し、マクロ経済スライドを廃止し、低年金者の年金を年間6万円上乗せし、底上げする共産党の提案を説明し、大企業・富裕層への行き過ぎた減税の見直しや、米国からのF35戦闘機などの爆買いをやめて、財源を確保すべきだと提起。「それなしに日本の未来はありえない」と力説しました。

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