2019年5月15日(水)
賃金改定調査で不正
厚労省 最賃改定の審議データ
厚生労働省は14日の中央最低賃金審議会で、最賃の改定審議に使われる賃金改定状況調査で、抽出したデータを日本全体の状況にあわせる「復元処理」を一部を除いて行っていなかったことを明らかにしました。データ偽装が発覚した毎月勤労統計のほかにもデータの不正処理が行われていたものです。
賃金改定状況調査は毎年6月1日時点の状況について各事業所へ調査票を発送して集計しています。回収したデータは業種や地域ごとに抽出率が異なるため日本全体の状況にあわせる復元処理を行うのがルールです。
しかし、回収データのうち賃金上昇率については復元処理していましたが、賃金引き上げ事業所の割合や平均賃金改定率などについては、単純集計ですませていました。その結果、最大で1・7ポイント過大な数値となっていました。
また、総務省が承認した計画では1万事業所に調査票を送付する予定でしたが、回収率を確保するためという理由で2万事業所に送付していました。
厚労省の五百旗頭千奈美賃金課長は、春闘の賃上げ状況を速やかに審議に反映するため単純集計していたと説明。復元処理をしていなくても「大きな変動はない」と述べました。
これに対し「復元で男女比率が逆転する」(使用者側委員)「計画通りでないのは遺憾。信頼に資する制度に」(労働者側委員)との意見が出されました。
同省は、今年度以降は全データについて復元処理を行うと説明。調査事業所については1万6000事業所に送付し、回答を督促すると述べました。