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2019年5月14日(火)

主張

景気動向の「悪化」

消費税増税の根拠は崩壊した

 内閣府が発表した3月の景気動向指数で、景気の基調判断が2月までの「下方への局面変化」から「悪化」に転じました。消費の不振や輸出の落ち込みで、安倍晋三政権も、景気悪化を認めざるを得なくなったものです。来週発表される1~3月期の国内総生産(GDP)も実質ゼロ成長が見込まれます。月末に発表される政府の月例経済報告でも、これまでの「景気は緩やかに回復している」との判断を変えるのではないかとの見方が強まっています。

 この経済情勢の中で、10月からの消費税の増税強行など最悪です。直ちに中止を決断すべきです。

6年2カ月ぶりの「悪化」

 景気動向指数は、企業の生産や雇用などの統計をもとに、内閣府が機械的に算出します。先行き、現状、過去の3種類の指数があります。現状を示す「一致指数」にもとづいた景気の基調判断は、「改善」「足踏み」「局面変化」「悪化」「下げ止まり」の5段階で表現します。1月と2月の基調判断は、「下方への局面変化」でした。3月は、「一致指数」が前月に比べ0・9ポイント低下、基調判断も2013年1月から6年2カ月ぶりに「悪化」に転じました。

 安倍首相は12年末に第2次政権を発足させてから、「戦後最長」の景気拡大が続いていると言い張ってきました。昨年から今年にかけ政府の経済統計の偽装が相次いで明らかになったように、“上げ底景気”の疑いが濃厚です。

 実際には安倍政権が強行した14年4月の消費税の8%への引き上げ以来の消費の低迷が続いているうえに、“頼みの綱”だった輸出や企業の設備投資も、中国経済の悪化や、米中の貿易摩擦の影響で、落ち込みがあらわになっています。内閣府が景気の基調判断を、「悪化」に変えたのは当然です。

 先週発表された3月の毎月勤労統計調査でも、物価変動の影響を除いた実質賃金が前年同月比2・5%減と3カ月連続のマイナス、下げ幅では15年6月以来3年9カ月ぶりの大幅減となりました。

 安倍政権が10月から強行を狙う消費税の10%への引き上げが、消費をさらに落ち込ませ、経済に打撃になるのは目に見えています。もともと消費税は、低所得者ほど負担が重い逆進性のある税制です。複数税率の導入やキャッシュレス決済時の「ポイント還元」、「プレミアム付き」商品券の発行など、どんなに「十二分の対策」をとっても、増税の痛みは消えません。制度を複雑にするだけで、消費者にも中小商店にも、負担の軽減にならないことは明白です。

 景気の悪化が鮮明になる中での消費税の増税は、それこそ暮らしも経済も破綻に導くものです。消費税増税の中止は、まさに待ったなしです。

参院選で厳しい審判を

 景気の落ち込みは、首相側近の萩生田光一自民党幹事長代行でさえ、日本銀行の6月の全国企業短期経済観測調査(短観、7月1日発表予定)の結果次第では、延期もありうると言い出した(4月18日のインターネット番組)ように、政権内も動揺させています。増税は今からでも中止に追い込めます。

 自らの失政に全く反省がなく、増税に固執する安倍政権に、政治は任せられません。7月の参院選で厳しい審判を下し、安倍政権と増税計画を葬り去りましょう。


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