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2019年5月5日(日)

首相改憲メッセージ 立憲主義踏みにじる

BS番組 小池氏が批判

 日本共産党の小池晃書記局長は3日夜のBSフジ・プライムニュースに生出演し、自民党の下村博文憲法改正推進本部長ら各党代表と憲法について討論しました。

 小池氏は、同日昼すぎに都内で開かれた改憲派の集会に、安倍晋三首相がビデオメッセージを寄せ、天皇の代替わりと改元にからめて改憲を呼びかけたことをあげ「天皇の制度の最悪の政治利用であり、やってはいけないことだ」と批判。また首相が「2020年までに新憲法施行という気持ちに変わりはない」などと述べたのに対し、「首相が期限を区切って、9条に自衛隊を書くという具体的なことまで示して改憲の旗振りをすること自体が立憲主義を踏みにじるものだ」と重ねて批判しました。

 連休明け9日に衆院憲法審査会が開かれ、国民投票法をめぐる参考人の意見聴取などが予定されていることをめぐり小池氏は、「憲法審査会は改憲発議の審査を目的とする組織であり、私たちは改憲の必要はないと考えているので動かすべきではないと主張している。これまでも予算委員会などで政府の憲法違反をただしたり、憲法を政治に生かすための議論を大いにやってきたし、これからもやるべきだ」と表明。3日の改憲派の集会で下村氏が「国民投票法を質疑・採決し、審査会で積極的に議論して、自民党の改憲4項目を発表したい」と発言していることを突き付け「前のめりな発言だ。国民投票法は結局、改憲の呼び水としてやっているということになる」と指摘しました。

 下村氏や公明党の北側一雄憲法調査会長が、憲法審査会の開催に野党が応じないのはおかしいなどとしたのに対し小池氏は、与野党合意に基づき運営するという慣例を破り、幹事懇談会を与党だけで強行したことについて与党の筆頭幹事が謝罪(4月24日)している事実を示し、野党への責任転嫁を批判しました。

自民改憲案 ときの政権の思惑で軍事行動を無制限に

 改憲の中身の議論では、内閣による衆院の解散権の制限について小池氏は、「党利党略の解散は許されないが、その妥当性の判断は、有権者が投票で行うべきもので、改憲の必要はない」と述べました。

 緊急事態条項の創設をめぐって小池氏は「総理が緊急事態宣言をすれば、法律と同等の効力を持つ政令を出せるもので重大な問題だ。緊急勅令が乱発された戦前の反省から、戦後は緊急権の仕組みはもたず議会が対応することでやってきた」とし、自民党の条文イメージ案でも「自然災害」に限定されるのか疑問だと指摘しました。これには公明党の北側氏も「理解できる。緊急だから政府が政令を法律なしにどんどん出していいとは考えない」と述べました。

 自衛隊の憲法明記をめぐって自民党の下村氏が「自衛隊の権限を拡大解釈することは(自民党案では)考えていない」などと述べたのに対し小池氏は、「自民党案の9条の2では、『前条の規定は自衛の措置をとることを妨げない』とあり、無制限に武力行使できるようになる。そうなれば、9条1項2項と明白に矛盾する」と反論。下村氏は、論理を無視し「それは小池解釈だ」などと決めつけましたが、公明党の北側氏は「小池さんの指摘はわかる」と発言しました。

 さらに小池氏は「違憲論争に終止符を打つというが、自衛隊は違憲ではないかという指摘があったからこそ、自衛隊の活動が憲法に適合するのかどうかが問われ続け、それが野放図な軍拡や海外派兵に一定の歯止めとなってきた。自民党案のように『自衛隊の行動は法律が定める』としてしまったら、ときの政権与党の思惑で軍事行動を無制限に拡大できる」と強調しました。

 最後に憲法についての思いを問われた小池氏は「憲法は国民のもの」と書いたフリップを示し、「どんな世論調査でも国民多数は改憲を望んでおらず、政治の優先課題と考えていない。そういう時に政権与党が数の力で、しかも『令和の時代の改憲だ』などといって国民から憲法を奪うことは許されない。国民のためにしっかり憲法を守り生かしていきたい」と述べました。

 また視聴者から「天皇制に反対なのか」という質問が寄せられたのに対し、「そうではありません。私たちは天皇の制度も含む憲法の全条項を守り、天皇の政治利用を許さないという立場です。その存廃は将来、国民の総意で解決されるべきです」と答えました。


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