2019年5月3日(金)
核兵器廃絶への転換点に
NPT会議準備委NGOセッション
被爆者ら「生きている間に実現を」
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【ニューヨーク=遠藤誠二】ニューヨークの国連本部で開会中の核不拡散条約(NPT)再検討会議(2020年)に向けた第3回準備委員会は1日、NGOセッションで日本の被爆者を含む各国非政府組織代表らがスピーチし、核兵器廃絶への真剣な努力を各国代表に訴えました。
最初に発言した胎内被爆者の濱住治郎氏(日本原水爆被害者団体協議会〈日本被団協〉事務局次長)は「平均年齢80歳を超えた被爆者は、後世の人々が生き地獄を体験しなくてすむよう、生きている間に何としても核兵器のない世界を実現したいと取り組んできました」と語り、これまでの再検討会議で約束された「保有核兵器の完全な廃棄を達成するとの核兵器国による明確な履行」を速やかに実行してほしいと訴えました。
原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の土田弥生事務局次長は、同委員会への日本原水協の声明を読みあげ、「(17年に採択された)核兵器禁止条約も発効以来50年のNPTの議論の発展のなかに位置付いている」と指摘。その上で、「核兵器廃絶の合意を全ての国が自国の安全保障政策のなかに位置付け、20年再検討会議を核兵器全面禁止、廃絶への決定的転換の会議にするよう提唱します」と呼びかけました。
松井一実・広島市長は、「核兵器禁止条約も、(核軍縮の誠実交渉義務を定めた)NPT条約第6条の延長線上にあるものととらえています。再検討会議に向け具体的な核軍縮、不拡散措置を確実に進展させる創造的な解決策を生み出してほしい」と訴え。田上富久・長崎市長は、核兵器禁止条約は「希望の光」であるとして、「被爆者たちの声を、市民社会の声を今こそ真摯(しんし)に受け止め実行することを求めます」と発言しました。
各国の代表からは、中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄表明や小型核兵器の開発を進める米ロ両国への批判が相次ぎました。
ドイツから青年女性代表として参加したマンディー・ルーセンホップさんは「われわれの指導者へヒロシマ、ナガサキを忘れるなと呼びかけます。私たち世代の未来はあなたたちの手のなかにある。目を覚ましてほしい」と声を上げました。