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2019年4月27日(土)

主張

ハラスメント防止

実効性ある法律にするべきだ

 政府が提出した女性活躍推進法等改定案が25日の衆院本会議で、自民、公明、立民、国民、維新などの各党・会派の賛成多数で可決され、参院に送付されました。日本共産党は、政府案がハラスメント行為の禁止規定を見送ったことは重大であり、「改正」の名に値しないとして、抜本的な修正案を提出するとともに、政府案に反対しました。

 フリーランスや就職活動中の学生らへのセクハラ防止に向けた対策を求めるなどの17項目の付帯決議については、衆院厚生労働委員会で、日本共産党も賛成し、全会一致で採択されました。

政府案はあまりに不十分

 安倍晋三政権は改定案について、▽これまで規定がなかったパワハラについて新たに事業主の防止措置義務規定を設ける▽パワハラ・セクハラ・マタハラそれぞれについて被害を相談したことによる不利益取り扱いを禁止する―などを“前進面”と説明しています。しかし、ハラスメント行為そのものを禁止する規定を設けなかったことは極めて重大な欠陥であり、到底認めることはできません。

 ハラスメントは、被害者の尊厳と人格を傷つける人権侵害行為です。ハラスメントを理由に仕事を辞めざるを得なかった人は後を絶たず、勤労権(27条)、幸福追求権(13条)をはじめ憲法で保障された基本的人権を侵すものです。

 セクハラは2006年の均等法改正で、事業主の防止措置義務が定められました。しかし、法律にハラスメント行為そのものを禁止する規定がないため、行政は違法行為だとの認定ができず、行為者に対する勧告など実効力ある措置もとれないことが、この間、多くの労働団体やハラスメント被害を受けた当事者、労働法の専門家などから指摘されてきました。

 「ハラスメント防止の実効性を高めるには禁止規定が絶対に必要」との声が沸き起こっていたにもかかわらず禁止規定を見送った政府案は、被害の深刻な実態を軽視・無視するに等しいものです。

 「ハラスメント行為により、労働者が出社できなくなったり、うつ病に罹患(りかん)したりして職業生活から遠ざかる例、ひいては自死に至る例もあるのであるから、立法府が実効性のない措置義務を事業者に課すにとどまるなら、立法不作為の責任も問われる」(自由法曹団団長の声明)との厳しい批判があがっているのは当然です。

 政府案は被害者救済と権利回復のための救済機関の設置にも一切触れておらず、顧客や取引先など第三者からのハラスメントも対象にしていません。ILO(国際労働機関)は今年6月の総会で「労働の世界における暴力とハラスメントの除去に関する条約」の採択を予定しています。この条約が各国に求めている水準からも政府案は大きくかけ離れています。

参院の徹底審議が不可欠

 日本共産党提出の修正案は、(1)ハラスメント全般(第三者からの行為も含む)を禁止する規定(2)被害にあった労働者の申し立てを受け迅速に調査・救済する独立した第三者機関の設置―を求める内容です。衆院では否決されましたが、法案を抜本的に改めるため、さらに奮闘します。被害者の救済とハラスメントの防止について実効性ある法整備を進めるために、参院での徹底審議が不可欠です。


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