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2019年4月24日(水)

益城町からみなし仮設に入居中の世帯

生活・健康悪化4割

熊本地震3年

 熊本地震で被災した益城(ましき)町の住民で、借り上げ型みなし仮設住宅に入居した世帯の31.5%が生活か健康のいずれかが悪化したことが、熊本学園大学社会福祉学部の高林秀明教授の調査でわかりました。入居中の世帯でみると40.2%とより厳しい状況を抱える世帯が多く、高林教授は「退去後支援の法整備が必要だ」と強調します。(矢野昌弘)


写真

(写真)熊本地震発生から3年のメモリアル集会で報告する高林教授=14日、熊本県益城町

町外に散在・孤立 「病人あり」44%

 高林教授は今年2月から4月にかけて、一般社団法人「minori」の協力を得て、みなし仮設に入居した全1558世帯(入居中691世帯、退去867世帯)の相談記録を集計しました。

 みなし仮設住宅は、自治体が借り上げた民間のアパートなどを利用するものです。プレハブ仮設のような団地をつくることができません。

 調査では、みなし仮設の75%が近隣の熊本市などの町外に散在し、みなし仮設の入居者が孤立しやすく、必要な情報が得にくい環境にあることが浮き彫りになりました。

 入居中の691世帯(2月15日時点)をみていくと、「病人あり」が44・4%、「障害者あり」が8・8%となっていました。

 これは、すでに退去した世帯より高い比率でした。また、世帯の構成も「単身者」や「ひとり親と子」、「高齢者とその子」などが目立ち、経済的に厳しい世帯が多いこともわかりました。

 地震後に「生活悪化・健康悪化(いずれかが)あり」と答えた世帯は、退去済みの世帯が24・5%だったのに対し、入居中の世帯は40・2%と大きく上回っていました。入居中と退去済みを合わせた全世帯では31・5%となっています。

 今、入居中の世帯の約半数368世帯が、3カ月中に退去期限を迎えます。

 高林教授は「これから状態が悪い世帯が出て行くことになる。生活や健康が整わないままに退去することによって、いっそう困難な状況に陥る世帯が少なくないとみられる。退去後も継続的な支援が必要な世帯が多い」としています。


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