2019年4月24日(水)
「北方四島帰属」を削除 2019年版外交青書
対北「圧力」文言消える
安倍外交の破たん・混迷が鮮明に
河野太郎外相は23日の閣議で2019年版外交青書を報告しました。ロシアとの領土問題に関して、従来の「北方四島は日本に帰属する」との表現が削除され、「領土問題を解決して平和条約を締結すべくロシアとの交渉に粘り強く取り組んでいく」との文言にとどめました。ロシアに譲歩し、歯舞・色丹の「2島返還」で決着をつけようという安倍政権の主権放棄の姿勢が如実に示されています。
政府は従来、国後・択捉・歯舞・色丹の4島は「日本固有の領土」であり、「日本に帰属」すると説明していました。しかし、昨年来、国会答弁などでこうした表現を避けていました。
また、北朝鮮に関しては、「圧力を最大限まで高めていく」との文言が削除されました。日本人拉致問題でも、「圧力」との文言が消えました。その上で、過去2回の米朝首脳会談に触れ、「朝鮮半島の非核化に向け、国際社会が一体となって米朝プロセスを後押ししていくことが重要だ」と述べています。
安倍政権の対北朝鮮“圧力一辺倒”路線が破たんし、改憲・軍拡の口実として最大限利用してきた「北朝鮮脅威論」がもはや通用しなくなっています。
一方、日韓関係については、韓国人の元徴用工の表記を、「旧民間人徴用工」(18年版)から「旧朝鮮半島出身労働者」に変えました。韓国での元徴用工訴訟の原告は「徴用された方ではない」(河野外相)とする安倍政権の立場を踏まえたもの。韓国側の反発は避けられません。
日韓関係全般については、韓国艦による自衛隊機への火器管制レーダー照射事件などを挙げ、「韓国側による否定的な動きが相次ぎ、日韓関係は非常に厳しい状況に直面した」と指摘しました。