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2019年4月21日(日)

主張

NPT再検討会議へ

核廃絶の展望開く世論・運動を

 核兵器禁止条約が近い将来に発効されることが期待される一方、トランプ米政権が中距離核戦力全廃条約(INF)脱退を表明するなど、新たな核軍拡競争への懸念も高まっています。最大規模の核軍縮交渉でもある核不拡散条約(NPT)再検討会議の開催が来年に迫る中、核兵器廃絶への展望をどう開くかが問われています。

保有国は「義務」果たせ

 核兵器は1発でも使用されれば、「ヒロシマ・ナガサキ」の惨害に示されるように甚大な非人道的結果をもたらします。現存する核兵器の1%未満でも人類破滅につながる気候変動を起こすという研究報告もあります。ところが、核大国は人類生存の危機よりも、「自衛のための核抑止力」にしがみつく姿勢を強めています。

 トランプ政権は昨年2月、新しい小型核兵器の開発や核兵器使用の「敷居」を低めることなどを盛り込んだ新たな核戦略(「核態勢見直し」)を発表し、「核抑止力」への依存を加速させています。ロシアのプーチン大統領も今年2月、新型核兵器の開発とともに、「米国の国土に近いロシア同盟国へのミサイル配備」の可能性にも触れました(年次教書演説)。中国も、核弾頭搭載可能な中距離弾道ミサイルを新たに配備し、核弾頭の数も増加させています。

 重大なことは、アメリカなどが核軍拡をめざす企ての中で、自らも合意した「核兵器の完全廃絶」の「明確な約束」(2000年のNPT再検討会議)や、そのための「枠組みをつくる特別の努力」(10年の同会議)すら否定しようとしていることです。

 NPTは、核保有5大国だけに核保有を認める不平等な条約ですが、そのことへの批判をやわらげるために、核軍備撤廃を交渉する義務も明記しています(第6条)。これをないがしろにすればNPTそのものが成り立たなくなります。核保有国には、この「義務」を果たす責任があるはずです。

 来年のNPT再検討会議の前に開催される最後の準備委員会が、今月29日からニューヨークで開かれます。世界の反核平和運動も、被爆75年の節目でもある今度のNPT再検討会議に向けて、新たな行動の準備を開始しようとしています。

 アメリカの運動団体からは「原水爆禁止世界大会のニューヨーク版を検討したい」という声も上がっています。

 核兵器禁止条約の発効が近づきつつあるように、世界の反核平和の流れは、これまでにない到達にあります。トランプ政権の「一国主義」や核軍拡への批判も高まっています。世論と運動の発展こそが、核軍拡競争「再来」の危険という逆流を打ち破り、「核兵器のない世界」へ前進する力です。

非核平和の北東アジアを

 アメリカのINF条約離脱で、日本など同盟国への中距離ミサイル配備の可能性がとりざたされています。北東アジアでの軍拡競争は断じて許されません。非核・平和の北東アジアを実現するためにも、日本政府は「核の傘」から離脱し、核兵器禁止条約に署名、批准すべきです。署名を求める自治体からの意見書は、全自治体の35%余りにあたる374に広がっています。ヒバクシャ国際署名も1千万人に迫りつつあります。被爆国にふさわしい政府を実現する取り組みが求められます。


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