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2019年4月14日(日)

主張

熊本地震から3年

命が失われぬ仕組みを万全に

 熊本、大分両県を中心に大きな被害を出した熊本地震で、最初の震度7の激しい揺れが発生してからきょうで3年です。2日後に震度7の「本震」となる揺れが起き、災害関連死を含め死者が273人となり、甚大な建物被害などを引き起こしました。熊本県内での住宅被害は約19万8000棟にのぼりました。

 今も約1万6500人が仮設住宅などで避難生活を送っています。長引く避難の中で被災者はさまざまな困難を抱えています。被災者の切実な声に応えた十分な対策、被害の実態に見合ったきめ細かな支援が急がれます。

安心できる住宅確保を

 被災者にとって何より急がれるのは、安心して暮らせる住宅の確保と整備です。災害公営住宅の建設はまだまだ立ち遅れています。プレハブの仮設住宅の生活が長引く中で、ストレスを抱えるなどして健康を害する人も少なくありません。高齢者の比率が高いところもあります。

 民間の賃貸住宅を自治体が借り上げる「みなし仮設」への避難者は、プレハブで暮らす人の2倍以上います。見守りや声かけの支援がいっそう大切になっています。

 「みなし仮設」では、慣れない地域に被災者がばらばらに移り住むことが多く、「孤立化」や単身世帯の「孤独死」が心配されています。必要な情報がゆきとどくようにするなど孤立を防止するための公的な援助の拡充が必要です。

 自宅再建をめざす被災者を支えるためには、被災者生活再建支援法の抜本的拡充が不可欠です。対象を「半壊」などに拡大するとともに、少なくとも支援金を500万円に増額することを真剣に検討すべきです。

 熊本地震では死亡した人の約8割が、避難生活の中で亡くなった災害関連死です。あまりに痛ましい事態です。70歳以上の高齢者や持病を持つ人たちが多くを占めています。体育館で雑魚寝を強いられるなど、劣悪な環境のもとでの避難生活によって、肉体的にも精神的にも負担が増大したことが原因と考えられます。

 余震で何度も繰り返される揺れのため、建物内にいられず、車中泊で健康を害したケースも多くありました。

 災害関連死は熊本地震の問題にとどまりません。共同通信社の調べでは、阪神・淡路大震災(1995年)以降に起きた災害で、災害関連死を全て合わせると全国で約5000人に達しています。きわめて深刻です。災害から逃れ、せっかく助かった命が失われるようなことがあってはなりません。

 被災者の命と健康を脅かし、人権が保障されないような避難体制のあり方が根本から問われています。問題点をあらためて洗い出し、国の責任で災害関連死を生まない対策をとるべきです。

災害への備えを強め

 昨年は、6月に震度6弱の大阪北部地震、9月には震度7の北海道地震が発生しました。日本にはわかっているだけで約2000の活断層があり、どこでも大きな地震が起きる恐れがあります。豪雨災害の危険も高まっています。

 災害に備え住民の命と財産を守る課題は、統一地方選挙での重要な論点の一つです。「災害多発国」としての役割を果たす政治の実現が求められます。


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