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2019年4月6日(土)

主張

経済情勢悪化

消費税増税などとんでもない

 経済情勢の悪化が、いよいよ鮮明になってきました。

 日本銀行が1日発表した短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業で7ポイントの低下、中堅企業や中小企業でも下がりました。5日発表の総務省の2月の家計調査報告や、厚生労働省の同月の毎月勤労統計調査でも、消費や所得の伸び悩みが浮き彫りです。2014年4月の消費税増税以来の消費の冷え込みが続いているうえに、米中の貿易摩擦やイギリスの欧州連合(EU)離脱の影響を受けた輸出の不振が、日本経済を揺さぶっています。

安倍政権下で最大の悪化

 日銀短観のDIは、「良い」と回答した企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を差し引いて算出します。調査対象企業が多く、発表も早いことから、注目されている経済指標です。

 今回の短観は3月の調査で、DIは大企業製造業でプラス12と、前回調査の昨年12月のプラス19から7ポイントも悪化しました。2四半期ぶりの悪化です。下げ幅は安倍晋三首相の政権復帰直前の12年12月調査の9ポイント以来、6年3カ月ぶりの大きさです。第2次安倍政権発足後では、最大の低下です。

 中堅企業製造業も10ポイント、中小企業製造業も8ポイント、それぞれ下がりました。とりわけ中小企業製造業は、東日本大震災直後の11年6月の11ポイント低下以来の大きさです。

 3カ月後の予測でも、大企業製造業はさらに4ポイント下がり、中小企業製造業は8ポイント低下すると見込むなど、景況感の悪化は明白です。

 家計調査報告(2人以上世帯)では、勤労者世帯の消費支出が1年前に比べてわずか実質1・9%の増加、毎月勤労統計調査では、実質賃金が2カ月連続で1年前と比べ1・1%減少と、消費と所得の低迷は隠しようがありません。

 政権復帰から「戦後最長」の景気回復だと自慢してきた安倍政権も、最近では「下方への局面変化」(内閣府の景気動向指数)だとか、「景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さも見られる」(政府の3月の月例経済報告)と認めざるを得ません。帝国データバンクの景気動向調査でも、4カ月連続の悪化となりました。

 こうした経済情勢の中で消費税の増税を強行すれば、暮らしも経済も破綻するのは目に見えています。安倍首相は、「リーマン・ショック級」の出来事がない限り、予定通り増税すると言い張っています。しかし、低所得者ほど負担が重い消費税を増税すれば、さらに消費が落ち込み、経済に打撃になるのは明らかです。どんなに「十二分の対策」をとっても、その悪影響は消せません。

相次ぐ増税中止求める声

 経済情勢の悪化が鮮明になる中で、国民だけでなく、企業や政府の関係者からも、消費税の増税中止を求める声が相次いでいます。

 3月半ばに開かれた日銀の金融政策決定会合で、「消費税増税が消費に悪影響を与えるリスク」「消費税率引き上げの影響次第では、景気後退への動きが強まっていく可能性」との指摘が続いたことも、深刻に受け止めるべきです。

 八方ふさがりの消費税増税の中止は、待ったなしです。統一地方選と参院選で安倍政権に厳しい審判を下し、退陣に追い込むことが必要です。


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