2019年4月5日(金)
異次元緩和6年
有害無益な政策 固執する日銀
2013年4月4日に始まった日銀の量的・質的金融緩和(異次元緩和)から6年がたちます。有害無益な政策の転換、見直しを求める声が高まっています。日銀は「年2%の物価上昇目標」の呪縛にとらわれ、破綻の深みにはまっています。
(山田俊英)
「2%にこだわりすぎるとおかしくなる」(3月15日、麻生太郎財務相)
「2%という絶対値にこだわりすぎるべきではない」(3月14日、藤原弘治全国銀行協会会長)
異次元緩和の弊害を指摘する声が相次いでいます。もともと「2%の物価上昇」など国民は望んでいません。日銀が3カ月ごとに行っている「生活意識に関するアンケート調査」でも毎回8割の人が「物価上昇は困ったことだ」と答えています。毎年2%も物価が上がる事態など生活破壊でしかありません。緩和の恩恵を受けたのは株価の上昇でもうかった大企業、富裕層です。
この政策に抵抗を示していた日銀に日銀法改定の圧力をかけて「2年で2%の物価上昇」をめざす大規模緩和に踏み切らせたのは安倍晋三首相自身です。副総理の麻生氏が「こだわりすぎるな」などと言うのは無責任です。
超低金利で庶民の預金にほとんど利子がつかない状態が長期化しています。貸し出しの利ざやでもうける銀行の本業はマイナス金利政策によって困難に陥り、地方経済を支えるべき地域金融機関は収益源を奪われています。
大量のお金を供給するため日銀が大量の国債を買い込んだため、日銀が保有する国債の残高は469兆円(3月20日時点)。名目国内総生産(GDP)の9割近くにのぼる国の借金を中央銀行が引き受ける異常事態です。さらに異次元緩和を続ければ、日本の財政、金融は異次元の危機に直面せざるをえません。
日銀の黒田東彦総裁は2%の物価上昇実現まで異次元緩和を続けると宣言しています。しかし、日銀自身の物価見通しは2020年度になっても1・4%。「2%」を掲げる限り、異次元緩和は21年度以降も続くことになります。
黒田総裁は追加緩和も辞さない態度を示しており、4月下旬に開く金融政策決定会合で異常な政策をさらに拡大することが懸念されます。