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2019年4月2日(火)

主張

増税前一斉値上げ

政権主導の官製カルテル不当

 10月からの消費税の増税を前に、食品業界などで、業界横並びの一斉値上げが相次いでいます。

 原材料費などが値上がりしていることもありますが、安倍晋三政権が、増税による「駆け込み需要を防ぐため」だとして、あらかじめ価格を引き上げるよう誘導していることが背景にあります。文字通り、政権主導の「官製カルテル」です。国民にとっては、値上げと増税のダブルパンチです。

 食料品などの値上げと増税で、国民の実収入はさらに目減りします。安倍政権による消費税増税と値上げ誘導をやめさせることが、暮らしを守るうえで不可欠です。

政府が文書で推奨

 安倍政権の内閣官房と、公正取引委員会、消費者庁、財務省、経済産業省、中小企業庁は昨年11月連名で、「消費税率の引上げに伴う価格設定について(ガイドライン)」なる文書を発表しました。文書には、日本では消費税の導入や増税時に一律一斉に価格が引き上げられるが、欧州諸国では税率引き上げにあたり、どのタイミングでどのように価格を設定するかは事業者が自由に判断しているとして、事実上、増税前の値上げを推奨しています。

 安倍首相は、日本共産党の山下芳生参院議員(副委員長)の国会質問(3月20日)に、欧米では増税前の駆け込み需要と増税後の消費の落ち込みを防ぐため、企業が自主的に引き上げた価格を増税後も維持していると述べ、「わが国もそういう対応をとっている」と認めました。政権主導の値上げを隠そうともしません。

 値上げが相次いでいる乳製品や即席麺、清涼飲料、冷凍食品などの食料品は、増税後も消費税率が8%に据え置かれるため、増税を理由にした値上げはできません。それで今のうちに業界横並びで値上げして、利益を確保しようという魂胆です。

 政府の「ガイドライン」を受け、財界団体の日本経済団体連合会(経団連)や各業界団体も、政府の方針を、周知徹底したことを認めています。

 乳製品や清涼飲料など食料品の値上げ幅は、高いものでは20%にもなります。政府の指針を受けた、便乗値上げの疑いは濃厚です。

 ただでさえ、低所得者ほど負担が重い消費税の増税で暮らしが苦しくなるのに、毎日の生活に欠かすことができない食料品の大幅値上げで、家計のやりくりはますます厳しくなります。先月初め発表の政府の1月の家計調査(2人以上世帯)でも、勤労者世帯の実質実収入は1年前に比べ3・8%しか増えていません。値上げと増税が重なれば、家計は破綻します。

日銀会合でも増税に懸念

 安倍政権は直ちに、深刻な消費不況の中での消費税増税と値上げ誘導をやめるべきです。

 日本銀行が3月中旬開いた金融政策決定会合でさえ、「消費税増税が消費に悪影響を与えるリスクもある」とか、「消費税率引き上げの影響次第では、景気後退への動きが強まっていく可能性があり、懸念される」とかの意見表明が相次ぎました(日銀公表)。

 消費者だけでなく、増税と値上げで売り上げが減れば、中小商店にも大問題です。

 どんなに「十二分の対策」をとっても、百害あって一利もない、消費税の増税はやめるべきです。


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