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2019年4月1日(月)

主張

消費税導入30年

暮らし壊す悪税に頼らぬ道を

 1988年12月に消費税導入法の成立が強行され、89年4月1日に施行されてから、30年です。安倍晋三政権は、一内閣としては異例な2度目の増税を10月から強行しようとしています。10%への増税中止は文字通り待ったなしの課題です。低所得者ほど負担が重い消費税を、深刻な消費不況のさなかに増税するなどというのは、最悪のやり方です。消費税の弊害を明らかにし、消費税に頼らない別の道にすすむ世論と運動を広げていくことが急務です。

大企業減税の穴埋め

 「付加価値税」などと呼ばれた大型間接税の導入は、自民党政権の長年の野望でした。79年に大平正芳政権が、税率5%の「一般消費税」を持ち出したのを手始めに、中曽根康弘政権の「売上税」策動を経て、竹下登政権の下で税率3%の消費税導入法を、国民の猛烈な反対を押し切り成立させるまで、10年がかりでした。

 竹下政権は、「広く薄く」負担してもらうとか、直接税と間接税の比率の「是正」だとか言いました。しかしこの30年で見ると、2019年度予算までの累計で397兆円に上る消費税の税収のほとんどは、大企業や大資産家への減税による税収減の穴埋めに消えた勘定になります。

 原則としてあらゆる商品の取引やサービスを対象にした消費税は、もともと低所得者ほど負担が重い悪税です。そこに大企業や大資産家への減税が加われば、貧富の格差はますます拡大します。

 その後、消費税は、97年に5%に、安倍首相が政権に復帰した直後の2014年4月に、「税と社会保障の一体改革」などを掲げて、8%に増税され、いずれも暮らしと経済への打撃になりました。とりわけ14年の増税が招いた深刻な消費不況は、いまに至るも影響が続いています。増税前に比べて、家計の消費支出は年間25万円も落ち込みました。その傷の深さは、安倍政権が15年10月に予定した10%への増税を、2回にわたって延期せざるを得なかったことにも示されています。

 安倍首相は「アベノミクス」によって経済が「成長」したと言って、10月からの増税を強行しようとしています。しかし、政府自身が景気判断を「下方修正」する状況での消費税増税が、暮らしに打撃を与え、日本経済をどん底に突き落とすのは、火を見るよりも明らかです。首相は前回の経験を踏まえ、「十二分の対策」を取り、「いただいたものをすべてお返しする」と言います。返すぐらいなら、増税しなければいいだけです。

 消費税収は社会保障の財源に回るどころか、年金も医療も介護も、改悪に次ぐ改悪の連続です。「社会保障のため」などという口実が、“看板倒れ”なのは明白です。

抜本的な税制改革を

 本来、税制は負担能力に応じて負担する「応能負担」が原則です。直接税を中心に、大企業や大資産家にその能力に応じて、適切に負担してもらうことは可能です。

 所得税では、大資産家ほど有利な証券税制の一律20%の課税を見直すことや、大企業に恩恵が集中している法人税の優遇制度を見直し、せめて中小企業並みに負担してもらうことで、消費税に頼らなくても財源は十分出てきます。

 大切なのは抜本的な税制改革実現のための、政治の転換です。


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