2019年3月30日(土)
主張
改憲への執念
首相の野望を打ち砕く審判を
安倍晋三首相が、憲法9条に自衛隊を書き込む改憲への執念を示す発言を続けています。
17日の防衛大学校卒業式で、「自衛隊の諸君が強い誇りをもって職務を全うできるよう環境を整えるため、(政治も)全力を尽くす」と訓示したのをはじめ、20日には夕刊フジ主催の改憲集会にビデオメッセージを寄せ、「平成の、その先の時代に向かい、多くの国民が憲法改正を自らの問題として大いに議論してほしい」と述べました。自衛隊に求められる政治的中立性も、首相の憲法擁護・尊重義務も踏みにじる、重大な発言です。
代替わりまでも「利用」
一昨年の憲法記念日に、改憲派集会へのメッセージや「読売」紙上で、憲法9条に自衛隊を書き込むなどの明文改憲を表明した安倍首相は、ことあるごとに改憲発言を繰り返してきました。
昨年の国会では、自民党の改憲案を国会の憲法審査会で提示しようと画策しましたが、野党と国民の反対で実現できませんでした。それでも首相は改憲を、あきらめません。
今年の年頭記者会見では、「具体的な改正案を示して、国会で活発な議論を通じ、国民的な議論や理解を深める努力を重ねることが選挙で負託を受けた国会議員の責務」と言いました。首相らに求められる憲法擁護・尊重義務(憲法99条)や、「三権分立」の原則を踏みにじる姿勢を改めようとしないのは、言語道断です。
通常国会の施政方針演説(1月)で、「平成の、その先の時代に向かって」と何度も強調する中で、改憲を主張したのも、天皇代替わりにかこつけて、改憲議論を加速させる思惑からです。代替わりまで改憲の口実に使おうというのは、あまりに露骨な天皇の「政治利用」というほかありません。
通常国会での答弁や2月の自民党大会では、自衛隊を批判する声や、自衛隊員募集に協力しない自治体がある現状に「終止符」を打つために、9条に自衛隊を書き込む改憲が必要と言い出しました。国民の言論・表現の自由や、自治体独自の政策判断まで封じ込めようという、安倍改憲の危険性を改めて浮き彫りにするものです。
自民党は小選挙区支部ごとの改憲推進本部を立ち上げ、改憲に向けてのビラや資料を配布し、世論の盛り上げに躍起です。
桜田義孝・五輪担当相が24日に、「何とか安倍内閣の下で憲法改正をしたい。せめて9条への自衛隊明記だけは実施したい」などと、許されない暴言をしたのも、自民党が改憲機運を高めるために、千葉県内で開いた会合でした。
改憲策動は絶対に軽視できません。反対の世論と運動を広げることが重要です。
草の根から包囲して
自民党は統一地方選に向けた政策パンフで、「時代の転換期にある今、憲法改正に向けて、国民的な議論を盛り上げ、取組みを更に強めます」とうたっています。まさに選挙の重要争点です。国民が望んでもいないのに、改憲を押し付けるのは、立憲主義の最悪の破壊です。
地域の「9条の会」の活動や3000万人署名を広げに広げ、草の根から包囲するとともに、統一地方選、参院選で審判を下して、安倍政権もろとも、改憲策動を葬り去りましょう。