2019年3月27日(水)
小学校教科書検定
「道徳」の教科書 首相の写真は消える
26日に検定結果が公表された来春から使用される小学校教科書。「特別の教科 道徳」では前回、教育出版が「下町ボブスレー」と題する文章に安倍首相の写真を添え、「教育の政治的中立性を侵しかねない」などの批判が出ていました。今回申請された教育出版の教科書では、「下町ボブスレー」の文章そのものがなくなり、安倍首相の写真は消えました。
また、同社の道徳教科書は、「国歌がながれたら、みんなでいっしょに歌います」などと記述し、「歌うことを強要しているようだ」などの批判が出ていましたが、今回そうした記述もなくなりました。
道徳は前回と同じ8社が申請し、すべて合格しました。
初の英語教科書登場 プログラミング扱う教材も
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小学校5、6年で「外国語」が教科として新設されるのにともない、小学校で初めて英語の教科書が登場しました。
26日公表された検定結果によると今回は7社が申請し、すべて合格しました。教える単語の数が学習指導要領の定める600~700語に足りないと検定で指摘され、扱う単語を追加して合格した教科書もありました。
新学習指導要領で、小学校からコンピューター操作の考え方を身につける「プログラミング教育」が位置づけられたことにともない、新しい教科書では算数・理科などに「プログラミング」を扱った教材が入りました。
また、新学習指導要領は、いわゆる「暗記型」ではない「主体的・対話的で深い学び」(アクティブラーニング)を強調しています。これに対応して各社とも、「活動」「アクティブ」「学び合おう」など、子どもに考えさせ調べさせたり、話し合わせたりすることを重視した編集をしています。
解説
自衛隊記述 安倍政権の狙い反映
2020年度から使われる小学校4年の社会科教科書の全社に自衛隊の記述が登場しました。災害での救援・救助などにかんするものですが、6年では自衛隊の役割を「国の防衛」「国際協力」などと強調する教科書もあります。
教科書にこうした記述が頻出する背景には、憲法9条を改悪して自衛隊が海外で戦争をできるようにすることを狙う安倍政権が、小学生のうちから自衛隊への「理解」をすすめたいという意図が色濃く反映しています。
この間、安倍政権は教科書の内容を自分たちに都合がいいものにするため、制度改悪を重ねてきました。
14年には教科書検定の基準を改定し、社会科の基準に「政府の統一見解や最高裁の判例に基づいた記述がされていること」を加えました。17年に改定した学習指導要領では、4年の社会科で自衛隊について書き加えました。指導要領についての文部科学省解釈を示す「解説書」では、6年で憲法の平和主義を扱う際、「自衛隊が我が国の平和と安全を守っていることに触れる」としました。
領土問題で政府見解どおりの記述を強要していることも含め、教科書を政権の「私物」とするようなやり方は許されません。(高間史人)
教科書検定 教科書会社が編集した小・中・高校の教科書が学習指導要領に基づいているかなどを審査する制度。文部科学省の諮問機関である教科書検定審議会が出した検定意見に従って内容を修正しなければ合格しません。