2019年3月26日(火)
モロッコ 教員ら1万人デモ
緊縮政策に批判強まる
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【カイロ=松本眞志】北アフリカのモロッコの首都ラバトで24日、教職員など1万人以上が、政府による公共サービス切り捨てや非正規雇用促進などの緊縮政策に反対し、正規雇用契約の復活・維持や年金引き上げ、労働条件改善などを求め、抗議のデモを行いました。ロイター通信によるとデモ隊は左翼政党や主要労組、市民団体、学生らが組織。教職員らは3週間ストライキを続けてきました。
政府は、治安部隊を使ってデモ隊に放水し、解雇をちらつかせるなど高圧的姿勢をとり続けています。デモに参加した教師のアブデリア・タルーアさんは、「差別なく公共サービスを受ける権利を主張し、公立学校を守るためにここに来た。われわれは教育省の脅しには屈しない」と同通信に語っています。
デモ隊のなかには「この国は腐敗している」「われわれはマフィアに支配されている」などと叫んでオトマニ首相やアムザジ教育相の辞任を求める声もありました。
モロッコ政府は、融資条件に公共サービスの切り捨てを求めるIMF(国際通貨基金)の圧力を受けて、2016年に雇用する側が自由に契約更新を拒否できる「新契約制度」を導入し、非正規教員が増大しました。現在24万人の教員のうち5万5千人が非正規雇用です。
IMFは18年末に、モロッコ政府に対して2年間で約30億ドル(約3300億円)の融資を承認し、公務員労働者の賃金引き下げを含む公共部門の歳出削減など、さらなる緊縮政策の受け入れを迫りました。国内では、「IMFは政府の社会政策に関心を払っていない」「社会にとって必要なものを犠牲にしている」といった批判の声が上がっています。