2019年3月24日(日)
9条改憲 重大争点
「ノー」の審判を
統一地方選・参院選
自民党が地方選政策に「改憲」を盛り込んだのに加え、安倍晋三首相は統一地方選直前、17日の防衛大学校の卒業式と20日の改憲派の集会(夕刊フジ主催)と連続で自衛隊明記の9条改憲へ公然と強い執念を示しました。「9条改憲ゆるさず」がますます重大な争点となっています。
正面対決
選挙目前に首相が強い執念
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安倍首相は17日の防衛大学校卒業式の訓示で「自衛隊の諸君が強い誇りをもって職務を全うできるよう環境を整えるため全力を尽くす決意だ」と自衛隊明記の9条改憲をアピール。また20日に東京都内で開かれた改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで、「(自衛隊の)違憲論争に終止符を打つ。その責任を果たす決意だ」と繰り返しました。
地方選を目前にして、立て続けに改憲への強い執念を示したもので重大です。自衛隊幹部候補生を前にしての改憲号令は、最も強く政治的中立性が求められる実力組織の政治利用であり、常軌を逸した暴走です。
自民党は3月はじめに発表した地方選向け選挙政策パンフレットで「憲法改正」の項目をたて「時代の転換期にある今、改めて国民世論を喚起し、新しい時代に即した憲法の改正に向けて、取組みを更に強めます」と掲げました。
安倍首相は、今年は夏に参院選挙を控え、その前に統一地方選や天皇代替わりなどの政治日程が立て込むため、昨年中に改憲発議にこぎつける戦略でした。ところが国民世論と野党の反発にあって強硬路線は頓挫。参院選挙をまたいでの発議へと戦略立て直しを余儀なくされています。
そのもとで選挙に向け9条改憲を焦点にして正面対決を挑んでいるのです。統一地方選と参院選は、これをはね返し、選挙で「9条改憲ノー」の明確な審判を突きつけ、安倍改憲にストップをかける歴史的選挙です。
安倍首相は「6割以上の自治体から自衛隊員募集に必要となる所要の協力が得られていない」「このような状況に終止符を打つためにも自衛隊の存在を憲法上明確に位置づける」(1月30日、衆院本会議)と発言。憲法への自衛隊明記で、若者の名簿を強制的に召し上げるという恐るべき狙いを示しました。
この動きの中で、すでに全国各地で自治体が無断で個人情報を自衛隊に提供していることへの怒りと抗議が強まっています。同時に、憲法への自衛隊明記で無制限の海外での武力行使が可能となる一方、地方自治と人権を軍事が縛っていくことへの危惧も広がっています。
二正面作戦
草の根活動を強化する自民
自民党は年初以来、地方選・参院選と一体に草の根の改憲論議の盛り上げを強める「二正面作戦」を強めてきました。2月の自民党大会では2019年運動方針に「(改憲へ)改めて国民世論を呼び覚ます」という一文を加えるなど草の根活動を重視。また、自民党憲法改正推進本部は全国の小選挙区レベルでも改憲推進本部を設置し、改憲・極右団体「日本会議」との連携方針を打ち出しています。同本部長の下村博文元文科相は、統一地方選で憲法論議を展開する狙いについて「憲法を論議することへのマイナスイメージを払拭(ふっしょく)する」と語っています(1月27日)。国会議員が地元で自民党の「改憲4項目・条文イメージ素案」について語るための教材として「Q&A」を作成、配布しています。
「安倍改憲に反対」の世論が多数であることを意識し、3000万人署名運動はじめ草の根の「9条守れ」の運動に切り返していかなければ、国民投票で成功できないという焦りの表れです。他方で安倍首相と日本会議の執念を過小評価することはできません。
まさに選挙と草の根運動の二正面で、正面対決の様相です。
安倍改憲の動きに抗して各地で、選挙勝利とともに、3000万人署名と5月3日の憲法集会を成功させる取り組みが強められています。
九条の会攻撃
NHK国会中継でフェイク
こうした中で、草の根「九条の会」への異常な攻撃が国会を舞台に行われました。改憲補完勢力・日本維新の会の足立康史議員が衆院総務委員会(19日)で、東京の弁護士事務所の職員らでつくる「九条の会」を名指しし、政治資金規正法に基づく「政治団体」として届け出しているかと質問。「九条の会はどう考えても政治団体だ。登録していないなら違法だ」などと一方的に決め付けました。NHK予算質疑の中、全国に放映されました。
しかし、政治資金規正法は、政治資金の流れを透明化して政治の公正を確保するためのもの。資金活動をしていない市民団体は政治活動をしていても届け出の必要はありません。足立氏の「質問」は「9条守れ」の草の根運動の萎縮を狙った悪質なデマ攻撃です。
選挙に突入する中、9条改憲をめぐる攻防は、かつてない激しい焦点となっています。安倍改憲に正面対決を貫く日本共産党の勝利で断固とした審判を下すときです。