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2019年3月20日(水)

主張

JOC会長退任表明

疑惑の幕引きをしてはならぬ

 2020年の東京五輪・パラリンピック招致をめぐる贈収賄疑惑でフランス司法当局の捜査対象になっている日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が6月の任期いっぱいで会長を退任することを表明しました。しかし、竹田氏は、肝心の疑惑についてまたもや説明する姿勢をみせず、国民の疑念は深まるばかりです。このままでは、東京五輪に向けられた世界からの不信の目がさらに厳しくなるのは避けられません。竹田会長の退任表明で疑惑に幕を引くことは許されません。竹田氏をはじめ関係者は真相解明へ責任を果たすことが求められます。

「潔白」を繰り返したが

 東京五輪招致をめぐる疑惑は、日本の招致委員会理事長を務めていた竹田氏が、アフリカの国際オリンピック委員会(IOC)委員の支持を得るため裏取引に関わったというものです。東京招致を決めた13年9月のIOC総会前後に、日本の招致委からシンガポールのコンサルタント会社の口座に合計約2億2千万円が振り込まれ、それがIOC委員の買収に使われたなどの疑いが持たれています。

 この疑惑は16年にロシアのドーピング問題をめぐる国際機関の調査の中で浮上しましたが、竹田会長は一貫して「潔白」を主張してきました。しかし今年1月に仏司法当局が、竹田氏について裁判をするかどうかを審査する手続きに入ったことが判明しました。竹田会長はその後も関与を否定するものの、質問を一切受け付けずに7分余で記者会見を打ち切るなど説明を拒み続け、国内外で批判の声が高まっていました。最近は、海外出張を取りやめるなど、会長としての活動にも支障がでる状態になっていました。

 竹田氏は19日のJOC理事会で、6月の任期満了で退任することをようやく表明したものの、肝心の疑惑については、「潔白を証明したい」などと記者会見で繰り返すだけで、説明はありません。退任理由も「若いリーダーに託す」などというもので、疑惑についての反省は示されません。竹田氏に向けられた疑惑によって、会長の活動に支障があるとされながら、なぜ6月まで、さらに3カ月も職にとどまるのか。説得力に欠けています。疑いを持たれた問題を余すことなく語ることが、竹田氏に課せられた最低限の責任です。

 竹田氏が「潔白」の根拠にする16年発表のJOCの調査チーム報告書も、疑惑を払しょくできる内容ではありません。同調査はコンサルタント会社の代表をはじめ関与が取りざたされている人物から事情を聴くこともできませんでした。2億円を超えるお金が、どこに流れ、どう使われたのかも追跡できていません。この報告書では、潔白の証明にはなりません。

信頼を得るためには

 IOC倫理規程は、オリンピック関係者に「最高レベルの高潔性」を求め、「(五輪運動の)評判を傷付けることが予想される行動」をしてはならないと明記しています。竹田氏の一連の問題はこれらの規定と相いれないものです。

 開会まで500日を切った東京五輪・パラリンピックの土台を大きく揺るがす疑惑は、絶対にあいまいにできません。解明なしに、東京大会への国内外の信頼を獲得するのは困難です。竹田氏と関係者の姿勢が厳しく問われます。


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