2019年3月17日(日)
主張
国保料と地方選
値上げ許さず引き下げ実現を
いまも高すぎると問題になっている国民健康保険料(税)が2019年度以降、さらにアップする危険のあることが日本共産党の調査と試算で明らかになりました。給与年収400万円の4人世帯(30歳代の夫婦、子ども2人)の場合、全国の8割の自治体で値上がりし、平均値上げ額は年4万9千円になる恐れがあります。歯止めなく上がる仕掛けが本格的に動きだすためです。国保料の大幅アップは、住民の命と健康、暮らしを脅かす極めて深刻な事態です。統一地方選で、大幅引き上げを許さず、大幅引き下げの実現を求める審判を下すことが急務です。
大幅アップが本格化
国保料の連続・大幅値上げの危険が迫っている実態は、日本共産党の志位和夫委員長が14日の記者会見で明らかにしました。4万9千円上がる4人世帯のケースだけでなく、給与年収の単身世帯、年金収入の高齢夫婦世帯、自営業の3人世帯などの場合でみても、約8割の自治体で大きく値上がりする傾向を示しています。
現在でも負担能力をはるかに超えた高い国保料には住民の悲鳴が相次いでいます。国保料を払えずに保険証を取り上げられ、医療機関を受診できずに病状が悪化、死に至る痛ましいケースも後を絶ちません。全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)の「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」では昨年、少なくとも77人が経済的困難から受診遅れで亡くなったことが確認され、国保料滞納など国保関連の事例も多くありました。
文字通り命まで脅かしている国保料をさらに大幅に引き上げるなどとんでもない話です。その上、安倍晋三政権が企てる消費税10%増税が重なれば、住民生活への打撃と影響は計り知れません。
いまの国保料大幅値上げの動きは、安倍政権が昨年スタートさせた「国保の都道府県化」が要因です。市区町村ごとだった国保の財政運営を、都道府県に集約することを通じて、市区町村が独自に財政から繰り入れ実施してきた国保料減免措置などをやめさせようというのが狙いです。そのために都道府県が「標準保険料率」を算定し、その水準に合わせて国保料の引き上げを市区町村に強要するやり方が本格化しているのです。「標準保険料率」は高齢化による給付増などによって毎年のように上がる仕組みです。際限なく上がり続ける国保料を住民に押し付けることなど絶対に許されません。
自治体は法令上、「標準保険料率」に従う義務がありません。厚生労働省も、地方自治の原則に基づき、自治体の判断による負担軽減などのための公費繰り入れを認める国会答弁をしています。国からの圧力をはねのけ、住民の負担軽減のために役割を発揮する地方政治を実現できるかどうか―。統一地方選の大争点です。
公費1兆円の投入不可欠
国保料の大幅値上げをストップさせ、大幅な引き下げに道を開くためには日本共産党の躍進が最大の力です。国保に公費1兆円を投入し、国保料を「協会けんぽ」並みに下げることを、日本共産党は提案しています。これは全国知事会などの要望とも一致する、幅広い人たちの切実な要求です。統一地方選と参院選で、国保料大幅アップを狙う安倍政権にノーの声を突き付けることが必要です。