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2019年2月24日(日)

高い国保料 政治の責任

朝から翌未明まで働き 病気に…

払えない生活体験してみて 東京・江戸川区 自営業 A子さん(47)

 高すぎる国民健康保険料・税。その実態は―。


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(写真)国保料通知書を手に「こんなに払ったら子ども3人を育てていけない」とうつむくA子さん

 東京都江戸川区内で自営業を営むA子さん(47)夫妻は、年間32万円もする家族5人分の国保料が支払えずに苦しんでいます。一緒に納める介護分の保険料を含めると36万4千円もします。

所得の2割も

 A子さんがパートを掛け持ちして汗を流しますが、年間所得は夫妻で計190万円ほどが精いっぱいです。「36万円も引かれたら、とても生活していけない」と声を落とします。

 3人の子育て中で、食費を削るにも限度があります。セール品の服を親子で着回すなど節約していますが、家賃や水光熱費、駐車場代、携帯電話料金、生命保険料、塾代、部活動費などを支払えば1カ月の生活費は底を突き、「貯金はまったくのゼロです」

 その分ダブルワークに奔走。朝8時すぎから翌日未明まで働き詰めの日々を送るうち、病気を患って立ち上がれなくなりました。

 いまも治療中で、医師から「とにかく休んでください」と言われますが、生活を考えれば休めません。多忙な日々と経済的な苦しさのなか、国保料を支払う余力はありません。

 その一方で数年前には、納付相談も十分にできないまま、区役所職員から「生命保険を差し押さえます」と迫られました。子どもの将来のためにと入っていた学資保険を泣く泣く解約し、15万円ほどを支払いました。

 A子さんは「政治家や行政の人は、補助制度などは積極的に教えてくれないのに、“取るものは取る”の一点張り。1日でいいから私たちの生活を体験してほしい」と憤ります。

均等割やめて

 世帯人数が多いほど保険料が高くなる「均等割」が国保料にだけあるため、子どもたち3人の均等割は1人ずつ年4万800円もかかります。「これでは、子どもを産みたくても『お金がかかって大変だ』と不安になってしまう」と語るA子さん。「ぜひ均等割をやめて、協会けんぽ並みに半額くらい値下げしてほしい」と、日本共産党に願いを託します。

福祉向上とは真逆 安倍政治変えよう

中央社保協 山口一秀事務局長

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 高すぎる国民健康保険料・税の問題について、中央社会保障推進協議会の山口一秀事務局長に聞きました。

 国保料は、18年4月から国保財政の運営責任を都道府県に移行した後も、世帯所得の10%台後半を占め、高いところでは20%を超えています。住民の命と健康をますます脅かす事態へ深刻化しているのが実態です。

 国保の都道府県化の狙いは、自治体を競わせ、医療・介護費用を削減することです。住民生活を守り、寄り添う施策が自治体に問われています。毎月実施している東京・巣鴨の宣伝で、1月14日には国保料の引き下げを求める署名が1回で150人分集まりました。「高すぎて払えない」「病院にかかれない」などの切実な声が次々に寄せられています。

 さらに国は、自治体に滞納者への差し押さえ処分を強行させています。滞納者の実情を無視し、ルールに則した対応も学ばず、差し押さえ品の“即売会”を開く、給料支給日に全額を差し押さえるなどの実例が各地から報告されています。

 自治体の本来の役割は、「住民福祉の向上」であり、法定外繰り入れの継続など値上げを止めさせる運動や声を住民や自治体職員とともに大きくしていく必要があります。

 国保料の引き下げは、高齢者だけでなく、増え続けている非正規雇用労働者、若者にとっても切実な要求です。安倍首相は「全世代型社会保障」と言いますが、言うこととやることは百八十度真逆で、実際は全世代への徹底的な負担増と給付減です。ウソで固めた政治を転換させましょう。

共産党 公費1兆円増で引き下げを

 国民健康保険料・税は、国民の4人に1人に及ぶ加入者が貧困化・高齢化する一方で国が国庫負担を抑制し続けてきたため、高騰が止まらなくなりました。そのうえ、国保料にだけ、世帯人数が多いほど高くなる「均等割」があるため、中小企業の従業員らが加入する協会けんぽと比べ、家族が多いと2倍にも高くなっています。

 これに対し、厚労省は国保財政の「安定化」を口実に「都道府県化」を18年度から実施。それと引き換えにした3400億円の財政支援や、住民運動を背景に、制度初年度は一部市町村が値下げしましたが、国は都道府県化を使って市町村をさらなる値上げへと“誘導”しています。

 市町村が独自の努力で国保料を引き下げてきた、一般会計からの法定外繰入金の計画的削減・廃止などを迫っています。財政支援の中には、繰入金の削減や国保料の取り立て強化を競わせる「保険者努力支援制度」まであります。

 この“誘導”に乗って18年度も値上げする市町村が相次ぎました。全国知事会など地方団体は国保料の引き下げへさらなる公費投入を求めています。

 これに対し、日本共産党は都道府県化の中止・撤回とともに、全国知事会の要求に基づく1兆円の公費負担増の実施で均等割などを廃止し、国保料を協会けんぽ並みに引き下げる政策を掲げています。1面所報の4人家族のモデル世帯が東京23区在住の場合、国保料は半減します。(松田大地)


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