2019年2月21日(木)
元首相秘書官、統計調査の変更要請
衆院予算委で判明 厚労省の検討会に意見
2015年に毎月勤労統計の調査方法の見直しを議論していた厚生労働省の有識者検討会の座長を務めた阿部正浩・中央大教授に、中江元哉首相秘書官(当時)からとされる“調査方法を変更すべき”との意見が伝えられていたことが20日の衆院予算委員会で明らかになりました。統計調査の変更に官邸が直接関与していた疑いを示すものです。立憲民主党の長妻昭議員が、阿部座長が厚労省から受け取ったメールの内容をただす中で判明したもの。
検討会は6月から9月に計6回開催され、従業員30人から499人の中規模事業所の調査対象の入れ替え方法について議論しています。阿部座長は15年8月7日の第5回検討会でこれまでの議論を踏まえ、「検討会の方向性としては、総入れ替え方式で行うことが適当だ」と発言。しかし、9月16日に開かれた第6回の検討会では、入れ替え方式について「引き続き検討」するとした中間的整理を取りまとめました。
根本匠厚労相は、阿部座長が受け取ったメールについて「15年9月14日に、事務局である厚労省の担当者から『(検討会の)委員以外の関係者から部分入れ替え方式を検討すべきではないかとの意見があった』と阿部座長に連絡した」として、メールにある「委員以外の関係者」とは、「中江首相秘書官のことだと思われる」と答えました。
中江氏は、「そうした考え方(部分入れ替え方式)について専門的な検討を進めてもらったらよいのではないかと言ったかもしれない」と述べました。