2019年2月18日(月)
官邸、賃金下降を障害と認識
統計不正 小池書記局長が指摘
BS番組出演
日本共産党の小池晃書記局長は17日放送のBS朝日「激論!クロスファイア」に出演し、国会論戦の焦点になっている毎月勤労統計の不正・偽装問題や安倍晋三首相がたくらむ9条改憲、日ロ領土問題をめぐって、自民党の武見敬三元厚労副大臣、立憲民主党の福山哲郎幹事長と討論しました。
このなかで小池氏は、毎月勤労統計の不正・偽装の経緯のなかで首相官邸の関与が明らかになってきたことを示し、勤労統計の数値に対し「官邸が『アベノミクス』にとって重大な障害になっていたとの認識をもっていたのは間違いない」と強調しました。
国会質疑では、中江元哉元首相秘書官(現・財務省関税局長)が秘書官在任時の2015年3月31日に厚労省統計部長らに対し、調査対象事業所の入れ替えに伴って実質賃金の公表値が下振れする傾向を踏まえ、「専門家の意見を聞くべきだ」と提案したこと、9月には安倍首相が国会答弁の準備の際、対象事業所の入れ替えによる実質賃金への影響について説明を受けていたことが判明しています。
小池氏は、安倍首相のいう「国会答弁の準備」は15年9月3日に小池氏が参院厚労委員会で行った労働者派遣法改悪の質問に対してのものであり、安倍首相が名目・実質とも賃金がマイナスになったのは「本年(15年)1月に行った調査対象事業所の入れ替えもあった」と答弁していることからも、15年9月時点ですでに、統計処理によって実質賃金が下がる問題意識をもっていたと指摘。それが同年10月の経済財政諮問会議で麻生太郎財務相による「統計改革」発言につながったことを明らかにしました。
武見氏は官邸関与の問題に答えず、「安倍内閣のもとで政府統計は確実に強化する観点で見直してきた」と発言。小池氏は「与謝野馨氏が自民党政権の大臣だった時、景気回復の実感のないことを『カゲロウ景気』と述べた。ところが安倍首相は平気で『戦後最高の賃上げ』などという。かつての自民党政権と比べても知性も奥ゆかしさもなくなっている」と痛烈に批判し、福山氏とともに野党が求めている18年の共通事業所の実質賃金伸び率を示した参考値を出すよう求めました。
首相の改憲理由「まるで徴兵制」
安倍首相が9条改憲の理由として、自治体による自衛官募集への「協力拒否」をあげている問題が議論になりました。「憲法に結びつけるのは大問題だ」と厳しく批判した小池氏は、自衛隊法施行令では、防衛相が自治体に対し「資料の提出を求めることができる」とあるだけで、自治体が応じる義務は規定されていないと指摘。「9条改憲の狙いは自治体から若者の名簿を召し上げることだ。安倍首相の頭の中にあるのは、まるで徴兵制ではないか」と警鐘を鳴らしました。
そして、自民党が安全保障調査会長・国防部会長連名で自衛官募集での自治体の状況を確認する同党国会議員に出した指示文書を示し、「自治体に圧力をかけよという指示だ。この文書には『一部の地方議会においては、左派系会派からの要求に応じて…募集対象者情報の提供を行った行政側が謝罪を行う事態にまで発展しており、看過できない』とまで書かれている」と述べました。
武見氏が「それは自民党の中の一部の発言だ」「できるだけ協力いただきたいという立場だ」と言い訳したことに小池氏は「安全保障調査会長と国防部会長の名前で出しているではないか。『できるだけの協力』どころか、強制だ」と指摘しました。