2019年2月13日(水)
消費税10% 首相の“根拠”総崩れ
志位委員長“きっぱり中止を”
家計消費も実質賃金もマイナス 首相認める
衆院予算委
日本共産党の志位和夫委員長は12日の衆院予算委員会で、家計消費が落ち込み、実質賃金も落ち込んでいる実態を明らかにして今年10月からの消費税10%増税の中止を求めました。安倍晋三首相は、言い訳を重ねながらも家計消費と実質賃金のマイナスを認めざるをえず、消費税増税の根拠は総崩れとなりました。(関連記事)
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志位氏は、総務省の家計調査をもとに実質家計消費支出の推移を提示。物価変動の影響を除いた実質の家計消費支出は、2014年の消費税8%増税を契機に大きく落ち込み、増税前と比べて年額で約25万円も減っています。一方、首相が「持ち直している」というGDP(国内総生産)ベースでも、統計上の架空の消費である「帰属家賃」を除いた実質家計消費は8%への増税を契機に大きく落ち込み、増税前と比べて約3兆円も減っている(図)として、「1世帯当たりの消費をとらえる家計調査ベースでも、一国全体の消費をとらえるGDPベースでも、家計消費は8%増税による打撃を回復するに至っていない」とただしました。安倍首相は「水面上には顔をだしていない」と認めざるをえませんでした。
さらに、志位氏は、安倍首相が繰り返す「所得環境は着実に改善している」という弁明も根拠がないことを厚生労働省の毎月勤労統計、連合の調査、総雇用者所得の3点から追及。不正調査が発覚した毎月勤労統計では、18年の実質賃金は調査対象を変えたために伸び率が過大となっており、より実態に近い「共通の事業所」で比較すれば、前年比で実質賃金はマイナスです。また、12~18年の6年分の推移をみれば、政府の「公表値」でも、実質賃金は増税前と比べて10万円以上も落ち込んでいます。志位氏の追及に安倍首相は「消費税が上がれば実質賃金が押し下げられるのは当然」と居直ったものの実質賃金がマイナスとなったことを認めました。
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志位氏は、安倍首相が主張する「連合の調査では、5年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げ」について、(1)「名目ベース」であること(2)「定期昇給」を含んだ数字であること―の「2重の上げ底」の数字だと追及。賃上げ水準をはかるなら、買えるモノやサービスを決める「実質賃金」で見ることが大切だと強調しました。
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志位氏は、連合調査でも「実質ベースアップ率」はこの5年間平均でマイナス0・54%だとして「ベースアップは、物価上昇に追いついておらず、労働者全体の実質での賃金水準はマイナスだ」とただしました。安倍首相は実質賃金のマイナスを否定できず、「給料明細に書いてあるのは名目賃金」「安倍政権になって久々にベースアップが復活した」などと弁明に終始。志位氏は「都合のよい数字だけをつまみ食いして『今世紀に入って最高水準』というゴマカシをいうのは金輪際やめるべきだ」と批判しました。
さらに志位氏は、安倍首相が「総雇用者所得」を持ち出して、「働く人が増えたからみんなの稼ぎが増えた」と主張する就業者の“増加”なるものについても「増えたという380万人の中身はどんなものか」と問いかけ、増加のほとんどが65歳以上の高齢者と高校生・大学生で、少ない年金や高い学費のために働かざるをえない状況になっていることが内閣府や日本学生支援機構の調査でも示されていることを指摘。「こういう現状をもって『所得環境は着実に改善』というのか」とただしました。
安倍首相は答弁に窮し、「仕事があるという状況を私たちがつくりだすことができた」などと言い訳。志位氏は「政治がやるべきは、低すぎる年金の底上げをはかり、高すぎる学費を抜本的に引き下げることではないか」と批判し、「消費税を10%に増税することは生活に苦しむ高齢者、学生、女性、多くの人々に追い打ちをかけることであり、絶対やってはならないことだ」と強調しました。