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2019年1月28日(月)

違法開発疑い知りつつ

馬毛島の買収進める防衛省

鹿児島

地図

 米空母艦載機離着陸訓練(FCLP)の移転先候補地として狙われている鹿児島県・馬毛島で違法の疑いがある開発が行われていることを知りながら防衛省は同島の買収を進めています。

 馬毛島は種子島の西約12キロにある広さ約8平方キロの無人島。2011年の日米安全保障委員会(2プラス2)共同文書で硫黄島(東京)で行っているFCLPの移転先として同島が明記されました。

 今月21日には、買収金額について「大筋合意」したとして、原田憲治・防衛副大臣が西之表市を訪問。今月下旬から、馬毛島の動植物の生息状況や気象など移転後の施設整備に向けた現地調査を行うと説明しました。

 政府が「大筋合意」として検討されている買収額は約160億円。2017年に防衛省が査定額として同社に伝えたという45億円の3倍超です。

 土地の99%を所有する東京の開発会社タストン・エアポート社は滑走路建設を目指し開発に着手しましたが、県から得た森林伐採届や林地開発の許可よりも大規模な伐採・整地・盛り土をして森林法に違反した疑いがあります。しかし、同社は行政の調査を拒否しています。

 鹿児島県議会などで「違法開発の疑いがある」との指摘が相次ぐなか、県は2012年に2回の現地調査を実施。開発の違法性について「再調査する必要がある」との認識を示していましたが、現在まで実施できていません。県の担当者は「日程調整などさまざまな要因がある。引き続き調整中」と話します。

 「違法行為を行っている疑いのある所有者から税金で島を購入するのか」―。同島の買収を撤回するよう22日に申し入れた日本共産党鹿児島県委員会は「里道、水路が違法に埋め立てられている可能性もある」として対応を求めました。防衛省側は「県が(違法の)恐れがあると(の認識だということは)確認している」とする一方、「現地に入れていないので、里道や水路の現況を把握していない」と答えました。

 同省関係者は「違法行為かどうかは県が判断する。(買収の)交渉とは別の話だと思う」と述べ、違法性についての確認や調査を行わないまま買収交渉を進める考えを示しています。

 日本共産党のまつざき真琴鹿児島県議は「過去には島民・住民の生業を支えてきた『宝の島』です。違法性が疑われる乱開発を行い、行政の調査も拒否し続けてきたような所有者に多額の国費を払い、住民に騒音と危険をふりまく訓練場所として米軍に提供することは断じて許されない」と強調。「買収撤回に向け全力を尽くす」と語っています。


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