しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年1月14日(月)

政治考

本気の共闘 協議を

安倍政権退場へ野党注目

 統一地方選と参院選で安倍政権に退場の審判を下す歴史的決戦の年。安倍晋三首相は年初から改憲へ執念を示す発言を繰り返す一方、首相自らトップセールスで展開した原発輸出の総破綻、厚生労働省の毎月勤労統計調査の偽装発覚で2019年度予算案の修正に追い込まれるなど、政権の土台を揺るがす激震が続いています。「安倍政治を終わらせる」という広範な市民の思いはますます強まっています。


写真

(写真)市民連合のシンポジウムで討論する6野党・会派の書記局長、幹事長=昨年11月28日、都内

 日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党の6野党・会派はすでに参院選の全国32の1人区での「候補者の一本化」を確認。当面の最大の焦点は大義の旗を掲げ、心を一つにした「本気の共闘」体制の構築に向け、政党間協議を開始することです。

もう一歩進め

 「(野党間では)1人区は一本化すると言っていますが、候補者を一本化するだけでは勝てません。政党同士がきちんと協議し体制をつくるなどしっかりした共闘にしないといけません」。こう指摘する山口二郎法政大学教授は、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)の共同代表として市民と野党の共闘の発展に尽力してきました。

写真

(写真)市民連合の街頭集会=昨年11月10日、東京・渋谷駅前

 昨年11月28日に開いたシンポジウムでは6野党・会派の書記局長・幹事長が一堂に会して共闘を論議し「1人区での一本化」確認という前進が生み出されました。山口氏はこれをもう一歩進め、一本化=政党間のすみ分けから、共通政策や協力体制づくりへ政党本部間協議を開く必要性を提起しています。

 マスメディア関係者も「野党共闘へ政党間協議が始まれば選挙情勢、政治的空気は一変する」と注目します。

 河野洋平元衆院議長は「朝日」7日付インタビューで「安倍1強」に立ち向かう野党の役割について発言。「与党には財界など業界団体から支援があるが、それ以上に、選挙に対する執念が違う。集票のための執念だ」と指摘。これに対し「選挙に対する執念がないと野党連携の際に『誰と組むのはいいが、誰とは組みたくない』となる」として、野党側が選挙、政権打倒への執念を強く持つ必要性を指摘しました。

 山口氏は「今回の参院選は歴史的な意義がある大きな決戦」だと強調します。ここで安倍政権に現状維持を許せば日本の民主主義が危機的状況に陥るとする一方、「安倍政権への批判、飽きは多くの国民が持っています。野党の共闘が進み、『本気の共闘』ができれば、安倍政権を追い詰める可能性は十分にあります」と語ります。

草の根の動き

 地方でも草の根からの共闘構築への動きが起きています。

 福島県では16年の参院選と17年総選挙の衆院福島1区で、日本共産党も参加した全野党共闘の候補が勝利しました。ふくしま市市民連合共同代表の根本仁さんは、今夏の参院選に向け、同市民連合では「全野党の統一候補で勝利する」ことを確認したとし、「全野党統一候補の実現には政党本部間での合意が欠かせません。『本気の共闘』の議論の加速を求めます」と語ります。

力合わせる大義

写真

(写真)市民連合と総がかり行動実行委員会が合同で開催した大街頭宣伝=昨年3月18日、東京・JR新宿駅西口

 「憲法九条を守る首長の会」の鹿野文永・元宮城県旧鹿島台町長(同町は現大崎市の一部)は、昨年、安倍9条改憲に反対する3000万人署名に取り組む中で、「安倍政治はダメだ」という声の一方、「だけど野党も分裂していて困ったものだ」との嘆きの声を聞いたとしつつ、「野党に対するこうした声は、逆に期待の裏返しでもある。政党同士が話し合い、統一候補を実現することによって希望へと変えていく。そうしなければ、安倍政治はダメだといっている方々に申し訳ない」と語ります。

 鹿野氏は、「昨年の沖縄での勝利と9条改憲発議を止めたことに自信をもち、今年の選挙運動の糧としてたたかえば、必ず勝てるという信念でぶつかっていきたい」と決意を示しました。

野党協力がカギ

 昨年11月28日の市民連合主催のシンポジウムで自由党の森ゆうこ幹事長は、「野党の一本化、どうたたかうのか、幹事長、書記局長が集まった今日を機会に具体的に前に進めたい。野党第1党が中心になってリーダーシップを発揮してほしい」と提起しました。また同7日には岩手県の日本共産党、国民民主党、自由党、社民党の代表が、国会で野党統一候補実現に向けた政党本部間協議の促進を各党に申し入れました。

写真

(写真)岩手県の野党代表から要望を受ける日本共産党の(右から)穀田恵二国対委員長、市田忠義副委員長=昨年11月6日、国会内

 年明けの4日、日本共産党の志位和夫委員長は党旗びらきでのあいさつで、「1人区で一本化」という市民連合シンポジウムの確認を踏まえ、「野党各党が無条件で協議のテーブルにつき、安倍政権打倒と『1人区での一本化』を政党間で合意し、その具体化のための協議を速やかに始めることを強く呼びかけたい」と改めて述べました。

 日刊スポーツのコラム「政界地獄耳」(元日付)は「今年の選挙の行方は野党次第」だとして、野党の選挙での結集・協力がカギだとの見方を示し、立憲民主党に「野党の盟主」としての役割が問われると提起しました。

 立民の枝野幸男代表は6日のNHKインタビューで、参院選での野党協力について「32の1人区については自民党と一騎打ちの構図をつくらなければならない。そこに向けて野党第1党である私たちが一番汗をかかなければならないと思っています」と発言。「若干歩みが遅いと心配もいただいているが、ここから夏に向けてそれぞれの党の言い分、主張をのみ込みながら国民のみなさんの、特にこれ以上安倍政権の横暴を許さないという声に応えられる状況は必ずつくれる」と述べました。

「近代への反動」

 市民連合の山口教授は「市民革命以来、権力と市民の関係をどうつくるかということで、いろんな国で、いろんな時代の人が苦労をしてきて、法の支配、立憲主義、基本的人権の尊重、さらには、議会制民主主義、いろんな仕組みをつくってきました。安倍政治は近代300年に対する反動です」と痛烈に批判。市民と野党が本気の共闘へ対話に踏み出し、力を合わせるべき大義を語ります。(中川亮、中祖寅一、日隈広志、若林明)


pageup