2019年1月6日(日)
西日本豪雨半年
農業再生へ苦闘続く
広島・呉 市原地区
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大規模な洪水、土石流を引き起こし、200人を超す死者を出した昨年7月の西日本豪雨から6日で半年になります。ライフラインは大半の地域で復旧し、仮設住宅での生活も昨年9月ごろから始まっていますが、安心した暮らし、生業(なりわい)再建はこれからです。
土石流、河川氾濫で3人の死者をだした山間の広島県呉市安浦町市原地区―。土石流の跡はそのまま、倒れた電柱やがれきが残り、発災から半年たったとは思えない状態です。
「右左を見ても、前後を見ても土砂とがれきだったことを思うと、これでも表面的な復旧は進んだ」と、壊れた自宅の2階で生活する同地区自治会長の中村正美さん(69)は説明します。
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同地区は発災前は24世帯のうち23世帯が農家。現在、自宅に戻っているのは10世帯で、今年、なんとか部分的にでも農業を再開しようとしているのは5世帯だといいます。
呉市は今年田植えができそうな田んぼについては、間に合うように整備し、全体的な整備は2019年度に計画をつくり、20年度に着工する方針です。
中村さんは「懸案だった水道の復旧も方向性が出た。これからは圃場(ほじょう)整備、市原地区の農業再生が最大の課題だ。区画整理事業も必要で、住民が細かい違いにとらわれず、団結してやらんとだめだ。地域の再生へ、今後も行政への働き掛けもしていく」と強調します。
水道復旧が大きな問題
共産党市議団など打開へ要請
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昨年7月の西日本豪雨で大きな被害を受けた広島県呉市安浦町市原地区の大きな課題は農業再生です。
同地区の男性(75)は田んぼの8割は被害がありませんでしたが、今年の作付けができるかどうか分からないと言います。
田んぼに水を引く水路が破壊されたからです。西日本豪雨で、田んぼに水を引いていた光木川の底がえぐられ、水位が取水口の2メートル以上、下になってしまいました。山からの水を引くパイプも流されました。
農業一筋の男性は滑車とチェーンを使い自力で水路をふさいだ岩の撤去などを進めていますが、復旧には到底及びません。
男性は「市か国か県かしらんが、なんとかしてくれ。水路さえできれば田植えするわいな」と話します。
5日に同地区を訪問して回った、日本共産党の奥田和夫、久保あずま両市議は、パイプで川から水を引くなど市への働きかけをすることなどを話し、激励しました。
同地区で大きな問題となっているのが水道の復旧です。
同地区は公営水道がごく一部にしか引かれず、住民が管理する小規模水道が使われてきました。豪雨で施設が破損しましたが、市は公営でないことから、修理を住民負担で行うべきだという姿勢をとってきたのです。
党市議団は議会で「水道もないのに住民は帰ってこられない」と質問。政府交渉でも日本共産党の仁比聡平参院議員らとともに対応を求め、市の裁量で可能だという回答を得て、市に要請をしてきました。
日本共産党員でもある中村正美同地区自治会長も何度も市に要請し、昨年12月、住民負担を最大20万円に抑える形で上水道を整備することで合意しました。
党市議団は「被災者一人ひとりがそれぞれ違う困難を抱えている。その解決のため頑張りたい」と決意を新たにしています。(柴田善太)