2019年1月4日(金)
主張
2019年と憲法
「安倍改憲」に終止符打つ年に
2019年は、あくまでも改憲に執念を燃やす安倍晋三政権と、憲法を守り生かそうと望む国民との、激しいせめぎあいの年となります。憲法9条に自衛隊を明記するなどの「安倍改憲」に反対する国民のたたかいは、昨年の臨時国会でも自民党の改憲案提示を許さず、改憲策動に痛打を与えました。今年も改憲阻止の世論と運動を広げに広げ、「安倍改憲」に終止符を打ち、安倍政権とともに、改憲策動そのものを、葬り去る年にしようではありませんか。
首相の執念は変わりない
自民党改憲案の提示ができなかった臨時国会閉幕後の記者会見で、首相は20年を新しい憲法が施行される年にしたいという自らの目標について「今もその気持ちには変わりはありません」と明言しました。首相はあくまでも、改憲に固執しています。
首相が改憲強行“シフト”に起用した下村博文自民党改憲推進本部長や萩生田光一幹事長代行、加藤勝信総務会長、吉田博美参院幹事長らも昨年末相次いで、改憲の意向を表明しました。
2月に開く自民党大会に提出予定の運動方針案には、改憲に「道筋をつける覚悟」と明記されると報じられています。
見過ごせないのは、自民党が改憲強行のために、すべての小選挙区支部に改憲推進本部をつくり、“草の根”からの運動を強化していることです。同時に、年末の同党改憲推進本部の会合で改憲派ブレーンの大学教授が「反対派を敵と位置付け、名指しで批判する」と発言したように、なりふり構わぬ姿勢です。「安倍改憲」の動きは絶対軽視できません。
憲法破壊を繰り返してきた安倍首相が一昨年から、9条に自衛隊を明記するなどの明文改憲を持ち出し、その実現に必死になっているのは、自らが祖父の岸信介元首相のDNAを引き継いだタカ派だというだけではありません。安保法制=戦争法を強行しても、なお残る憲法上の制約をなくし、海外での自衛隊の戦争参加に道を開くためです。
自衛隊を9条に明記すれば、同条1項、2項の戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認の規定が空文化・死文化し、自衛隊が大手を振って、海外での戦争に参戦可能になります。安倍政権は昨年末に決めた新しい「防衛計画の大綱」や「中期防衛力整備計画」で、事実上の空母の保有やF35戦闘機の大量購入など、派兵型の軍備を着々と増強しようとしています。
「安倍改憲」は、74年前に侵略戦争に敗北した日本が、痛苦の反省のうえに、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」(憲法前文)とした決意を根こそぎ覆すものです。首相の改憲策動を許さない決意を、新年にあたり、新たにしましょう。
野党と市民の力強めて
臨時国会での自民党改憲案の提示を阻んだのは、「9条の会」の活動や3000万人署名の全国的な広がりなど、憲法を守り生かす、野党と国民の取り組みです。
「安倍改憲」反対の世論は、共同通信調査で52・8%(12月17日付「東京」など)となっています。国民が望まぬ改憲を強行するのは、それ自体、憲法の大原則、立憲主義の破壊です。
「安倍改憲」阻止へ、野党と市民の力を強めることが重要です。