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2018年12月31日(月)

主張

災害相次いだ1年

国民の命守る備えに知恵集め

 2018年は、日本列島が大きな災害に相次いで見舞われた1年でした。豪雨や地震などで住まいを失い、仮設住宅で年を越さなければならない方々も大勢います。世相を示す「今年の漢字」に「災」が選ばれたのも、被害に心を痛める国民の気持ちの表れです。異常気象の多発や、地震・火山活動の活発化が指摘されるなか、「災害に強い国」にするため政治が本腰を入れることが求められます。

ぜい弱さが浮き彫り

 全国で発生した18年の土砂災害は3400件を超え、過去最多だったと国土交通省が発表しました。平年の3倍以上です。7月の西日本を中心とした記録的豪雨、9月の北海道地震などが要因です。大規模災害のすさまじさを改めて示すものです。

 都市部を襲った6月の大阪北部地震や、強風・高潮で関西空港を機能マヒにした9月の台風21号も深刻でした。夏の猛暑は「災害級」とまでいわれました。北海道地震では全道停電(ブラックアウト)を引き起こし、台風による強風は関西、東海など広範囲で長期間の停電を招きました。日本列島で災害に無縁の地域はなかったといっても過言ではありません。

 甚大な被害と犠牲を生んだ災害は、国民の命を守る体制のぜい弱さを浮き彫りにしました。

 体育館などに身を寄せる被災者への支援の仕組みは立ち遅れています。床に雑魚寝せざるをえないようなプライバシーもない生活が長期化することは、心身ともに疲れている被災者の健康をむしばみ、「災害関連死」のリスクを高めます。この間の被災地の運動で一定改善された面もありますが、まだ不十分です。

 地震国イタリアでは、国の災害専門機関「市民保護省」があり、各州の大きな備蓄倉庫にはテント、ベッド、コンテナ製のトイレやシャワー室、調理車などが置かれ、被災者に48時間以内に届ける仕組みが整えられています。これらを参考に、日本でも被災者の生活と権利を保障する制度へ、大本から見直すことが不可欠です。

 被災地の復興にとって重要なのは、住宅の再建です。大きな住宅被害をだした1995年の阪神・淡路大震災をきっかけにした幅広い市民運動の高まりの中、98年に「被災者生活再建支援制度」が創設されました。住宅の「全壊、大規模半壊」世帯を公的に支援する制度としてスタートしましたが、20年たって一部改正されつつも、“限界”が明らかになり、抜本的な拡充を求める声が上がっています。

 全国知事会は11月、支援制度の対象を「半壊」にまで拡大するなどの提言をまとめ、国に要請しました。「全壊」が10棟を超えないと自治体が制度適用の対象にならない不平等を改めることも要求しています。「一部損壊」を対象にすることも急務です。支援金の大幅引き上げなどとあわせ、制度の改善・充実は極めて切実です。

従来の延長線上でなく

 公共事業のあり方の検証、観測体制の強化、避難の仕組みの総点検など、課題は山積しています。

 災害が従来とは異なる規模で発生している下で、これまでの延長線上の発想では対応できません。幅広い人たちと手をたずさえ、知恵と力を出し合い、新年を「災害から命と暮らしを守る」政治へ踏み出す年にしましょう。


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