2018年12月30日(日)
日米演習1198日
北朝鮮威嚇に加担
自衛隊と米軍が2017年度に実施した共同訓練・演習(日米双方が参加した多国間共同訓練を含む)が少なくとも121回、延べ1198日に達したことが分かりました。同年に北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験が続いた中、自衛隊が米空母打撃群や戦略爆撃機などと共同訓練を繰り返し、北朝鮮に対する米政権の軍事威嚇に加担した実態を反映しています。
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本紙が、防衛省への情報公開請求で入手した資料をもとに集計したところ、延べ日数の内訳は、統合幕僚監部が担当する統合演習が218日で、16年度比で75日増、陸上自衛隊が307日で54日増、航空自衛隊が169日で52日増加となりました。海上自衛隊は504日でした。
海自は、日本海や東シナ海などで、北朝鮮をけん制する空母打撃群と頻繁に共同訓練を実施しました。17年11月には日本海で、原子力空母ロナルド・レーガン、セオドア・ルーズベルト、ニミッツと共同訓練を実施。空母3隻との共同訓練は初めてです。
5月には「小規模基礎訓練」の一環で、ヘリ搭載型護衛艦「いずも」が安保法制=戦争法の初実施となる「米艦防護」を行っています。米朝の緊張関係が高まっていた中での米軍との一体化で、日本が米朝の軍事衝突に巻き込まれる危険もありました。
空自は、B1B戦略爆撃機との共同訓練を九州周辺や東シナ海などで計14回行っています。最新鋭ステルス戦闘機F35Bも加わった訓練も行い、北朝鮮に圧力をかけました。
さらに防衛省は、日本共産党の穀田恵二衆院議員の質問に対し、核兵器を搭載できる米空軍のB52戦略爆撃機と空自の戦闘機が複数回(17年8月22日、18年1月22日)訓練していたと認めました。しかし、開示資料にはこれらの訓練の記載はなく、隠されています。
日米共同訓練 米軍と空中給油 常態化
防衛省が開示した資料から、航空自衛隊が、危険な空中給油訓練を沖縄周辺空域で5回、浜松沖空域・小松沖空域で1回と計6回、延べ24日間実施していたことが明らかになりました。
米軍からは米空軍嘉手納基地配備の第353特殊作戦群が参加し、MC130特殊作戦機が空中給油しています。MC130は、2016年12月に米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが空中給油に失敗し、沖縄県名護市に墜落した際、空中給油を行った同型機です。
陸上自衛隊は、17年5月に南スーダン国連平和維持活動(PKO)から完全撤退しましたが、同年7~8月にモンゴルで行われた多国間共同訓練「カーン・クエスト17」で、PKOに関する「駆け付け警護」などの実動訓練を行っています。
同年5月には、島嶼(とうしょ)防衛を念頭に、日米仏英による史上初の4カ国共同訓練が行われました。
自衛隊準広報紙「朝雲」(17年6月29日付)によると、統合幕僚監部と陸自隊員約40人が、海上自衛隊佐世保基地で仏英米軍の隊員約320人とともに仏海軍の強襲揚陸艦「ミストラル」に乗り組み、米グアム島で偵察用ボートを使った着上陸訓練を実施。テニアン島では英海軍の汎用ヘリ「マーリン」からヘリボーン作戦で上陸し、仏英米軍部隊と共同で総合訓練を行ったといいます。
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