2018年12月29日(土)
夜間学校を守れ
アルゼンチン 教員が24時間スト
「学ぶ可能性否定される」
南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで27日、市当局による夜間学校閉鎖計画に反対する教員労組が呼び掛けた24時間ストが実施されました。計画は中央政府のマクリ政権と同じ路線をとるラレタ市長の緊縮政策の一環です。教員らは閉鎖により数千人の生徒が働きながら学ぶ機会を奪われ、教員も解雇の危機にさらされると強く反発しています。
地元紙の報道によると、問題となっているのは、市教育省が決定し14日に公表した夜間学校の統廃合計画。これには▽夜間商業学校14校の段階的閉鎖▽9高校での夜間クラス定員の削減―などが含まれています。
市側は、定員割れしている夜間学校を統廃合するもので、生徒が他の学校に移ることも保障されるなどと説明しています。しかし、学校が変われば、昼間働く職場から遠くなり、通学を断念せざるをえなくなるかもしれません。
ストに参加した商業学校の教員パトリシア・パルドさんは地元メディアに、昼間はサッカークラブで練習したり、仕事をしている生徒が夜に学校にやってくる事例を紹介。「夜間コースに通っている子たちは、他に選択肢がないからそうしている」、夜間学校の閉鎖によって「学ぶ可能性が否定されるのは理解できない」と語りました。
市議会(定数60)は閉会中ですが、野党会派は夜間学校閉鎖決定廃止案を共同提出。3分の1以上の賛同を集め、閉会中の臨時会合が27日に設定されました。スト中の教員たちが議事堂前に詰めかけましたが、市長を支える与党議員が全員欠席し、定足数(過半数議員の出席)に達しなかったため、廃止案の討論はできませんでした。
ストを呼び掛けた教育労働者同盟(UTE)のエドゥアルド・ロペス書記長は、与党議員は欠席によって「夜間学校閉鎖への固い決意を示した」と述べ、議論さえ拒否する態度も厳しく批判。「(与党が)閉鎖を望んでいる学校には、働きながら学ぶたくさんの若者たちがいるんだ」と語り、計画撤回まで運動を続ける決意を表明しました。
労組側は計画が撤回されなければ、来年の新学期の開始時期にも再度ストを組織する可能性もあると述べています。(菅原啓)