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2018年12月24日(月)

シリーズ防災・救援・復興

岡山・倉敷市真備町 住民「治水対策早く」

また豪雨あったら住めない 工事未完 検証今後も

 7月の豪雨災害で面積の3割が浸水し、51人が亡くなった岡山県倉敷市真備町。「こんなことがまた起これば真備には住めない」被災した住民の多くが明言します。豪雨から5カ月余、豪雨への治水対策はどうなっているのでしょうか。

 (岡山県・小梶花恵)


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(写真)国土研と末政川の決壊箇所を調査する須増県議(右から2人目)=10月27日、岡山県倉敷市真備町

 真備町の東端を流れる高梁川は7月6日の夜、急激に増水しました。小田川の水が本流の高梁川に流れ込むことができず、小田川とその支流が増水しました。小田川とその支流の計8カ所が決壊しました。

 決壊の原因として国土交通省の小田川堤防調査委員会は、本流が増水し、支流の水が流れづらくなる背水(バックウオーター)を挙げています。この結果、「堤防の低い所から水があふれ、川の外側から堤防を削り破堤した」と説明。高水位が長時間続いたため、水が堤防に染み込み破堤した可能性も指摘しています。

堤防の高さ

 国交省は高梁川と小田川の合流点を、現在のせき止まりやすい地点から下流に付け替える工事を計画していました。日本共産党は2015年9月に、須増伸子県議と倉敷市議団が同岡山河川事務所に合流点の付け替えを急ぐことを求めてきました。国交省は今回の豪雨を受け、完成予定を5年前倒し、23年度の完成目標としました。

 小田川と支流の堤防は高さがまちまちという問題も―。須増県議の調査によると高い所は標高19メートル。決壊した高馬川合流点は15・8メートル、末政川決壊箇所付近は14~15メートルでした。党県議団が水害の原因調査を委託している国土問題研究会(国土研・上野鉄男理事長)は予備調査の報告で「小田川の堤防をかさ上げした時に支流の堤防の標高を合わせなかったのではないか」と指摘しています。

 国は洪水時に想定される最高水位に余裕をもたせた高さで、小田川と支流の堤防の標高をそろえる計画です。須増県議は「決壊が起きなかった標高17メートルまですべての堤防をかさ上げするべきだ」と主張しています。

放流協定を

 高梁川の増水にはダムの放流が大きく影響した可能性があります。

 須増県議は議会で、新成羽川ダムが7月6日午後7時に毎秒1000トン超、同10時すぎに同2000トン超を放流したことを指摘。高梁川の急激な水位上昇に影響したとして、「新成羽川ダムを含めた高梁川水系の治水計画作成を国に求め、国、県、市町村とダム管理者の間で放流の連携協定をつくるべきだ」と求めました。

 いずれの対策も完成はまだ先のこと。市民からは「次の豪雨に間に合うのか」「工事は短縮して」などの声が出ています。

 真備町箭田(やた)でパン店が被災し、仮設店舗で営業している女性(34)は「その後の台風の時も水位はぎりぎりだった。今は堤防に補強材も入っていないし、補強してほしい」と話します。文具屋を営む女性(77)は「もう一回あんなことがあったら終わり」と話します。

 住民にむけた治水対策の説明会が開かれたのはようやく11月に入ってからのことです。須増県議は「住民が主人公の立場で、豪雨被害を検証し、科学的知見に立って、被害を最小限にする方法を見いだすため頑張ります。防災対策を強め、真備で暮らしていけるようにしたい」と強調しています。

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