2018年12月23日(日)
「歴史的事実の究明を」
ハンセン病家族訴訟 原告、涙の陳述
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21日に熊本地裁(遠藤浩太郎裁判長)で結審したハンセン病家族訴訟では、原告や支援者ら約250人が裁判所に詰めかけ、法廷では3人の原告が意見陳述をしました。訴訟は、元患者の家族ら561人が、強制隔離政策によって差別や偏見を受けたとして国に謝罪と損害賠償を求めているものです。
意見陳述で、父が元患者だった鹿児島県奄美市の男性(80)は「子どもの頃に父の病気が理由で、ひどい差別やいじめを受けた」と証言。両親が菊池恵楓(けいふう)園(熊本県合志市)などに強制収容された70代の女性=鹿児島県=は、幼くして両親の元で育つという経験を奪われ、親戚からは母の自宅への来訪を禁じられるなど「心に深い傷を残した」と涙ながらに訴えました。
一方、国側は「隔離政策は家族を対象としていない」と述べ、原告の訴えは間接的な被害だと主張しました。
結審後の記者会見で、ハンセン病家族訴訟原告団の林力団長は「当時のハンセン病患者に対する国の政策の中身は隔離しかなく、国民は強制的な連れ去りという断片的な事実しか知らされなかった。隔離した当事者である国は、その歴史的事実を究明すべきだ」と述べました。
弁護団の徳田靖之共同代表は「『家族に被害があるとは思えない』などと主張する国への怒りを覚える。社会の中に深く根付いた差別や偏見を根絶する判決になってほしい」と述べました。