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2018年12月22日(土)

主張

19年度予算案決定

財政の機能がますますゆがむ

 政権復帰から間もなく丸6年を迎える安倍晋三政権が、2019年度の政府予算案を閣議決定しました。一般会計の総額で初めて101兆円を超えた巨額の予算は、軍事費の突出、社会保障費のカットの異常を続けます。加えて19年10月から消費税の税率を10%に引き上げることを前提に、現金を使わないキャッシュレス決済のポイント還元や「プレミアム付き商品券」発行に多額の費用を投入します。新規国債の発行額は9年連続で減らすというものの、財政の行き詰まりはいよいよ深刻です。

国民が望まない増税対策

 安倍政権が消費税増税を盛り込んだ予算を編成したのは、税率を5%から8%に引き上げた14年度に続くものです。2度も消費税率引き上げに踏み切った政権は、かつてありませんでした。

 キャッシュレス決済のポイント還元やプレミアム付き商品券の発行などは、増税で消費が落ち込むことへの対策が口実です。前回増税後に消費不況が顕在化した反省だといいますが、それなら増税をしなければいいだけです。

 ポイント還元は中小商店では5%で、チェーンの外食店などは2%にするといいます。同じ系列のコンビニでもフランチャイズ店は2%還元で直営店は還元なしになるなど、混乱拡大は必至です。中小商店でも対応できる体制が必要で、商品券発行も現金に換金するなどの手間がかかります。

 安倍政権は税制の面でも、食料品などの消費税率を8%に据え置く複数税率の導入や、自動車や住宅を対象に減税します。複数税率導入は混乱を増すばかりで、自動車や住宅を買わない人には減税も関係ありません。

 世論調査ではポイント還元の導入に「反対」が64%で、プレミアム付き商品券にも55%が反対しています(「毎日」17日付)。国民が望まない増税対策はやめて、増税そのものを中止すべきです。

 予算の使い方では、安倍首相の政権復帰以来増え続けてきた軍事費が5兆2574億円と、またも史上最高を更新しました。先日決定した新しい「防衛計画の大綱(新大綱)」と19年度からの5年間で27兆円余に上る「中期防衛力整備計画(中期防)」にもとづき、「いずも」型護衛艦の空母化やアメリカからのF35戦闘機の大量購入など大軍拡を進めます。兵器購入の拡大を求めるアメリカのトランプ政権の要望にも応えます。

 社会保障は、厚生労働省が概算要求で求めた18年度比6000億円分の自然増を認めず、約4800億円増へと削り込みました。低所得者向けの後期高齢者医療の保険料軽減措置の廃止など、依然として暮らしに冷たい予算です。

大企業に応分の負担を

 本来、「応能負担」の原則にもとづく税金などで賄われる財政は、景気の調整や大企業・大資産家から国民への所得の再分配が役割です。財界・大企業、アメリカの要求でばらまく一方、国民の暮らし向けを切り捨てるのでは、財政の機能がますますゆがむことになります。

 消費税の増税や大軍拡、社会保障予算カットは中止し、歳入と歳出両面を見直して、財政の機能を取り戻すべきです。大企業・大資産家に応分の負担を求め、暮らし最優先の予算を編成してこそ、財政の役割が果たせます。


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