2018年12月19日(水)
高速炉 開発の行程案
もんじゅ後継 政府検討会まとめ
政府の高速炉開発会議の実務レベルの検討会である「戦略ワーキンググループ」は18日、廃炉中の日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」の後継となる高速炉の今後10年程度の開発作業を定めた「戦略ロードマップ(行程表)案」を取りまとめました。
今後研究開発について、当面5年程度は民間からのアイデアを試す第1段階、2024年以降は国と原子力機構、電力事業者が技術の絞り込みを実施する第2段階、今後の開発課題と行程について検討する第3段階としています。
開発の見通しについて、後継炉の運転開始は今世紀半ばごろ、本格的運用を今世紀後半としています。
政府はもんじゅを廃炉にしたものの使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出し再利用する「核燃料サイクル政策」に固執し、プルトニウム利用の要となる新たな高速炉開発を進める方針を決定していました。
解説
核燃サイクル破たん繕う
もんじゅは、1兆円以上の国費を費やしながら、ほとんど運転もできずに2016年廃炉が決定。政府は同時に、もんじゅ計画の失敗の反省もないまま後継炉開発の方針を決めました。その方針を受けての行程表です。
行程表案は、多くのことが未定です。もんじゅで問題となった事業主体も、適切な事業運営体制の構築が必須だとしているだけ。ただし国の「適切な規模の財政支援」が必要だと強調しています。
政府は核燃料サイクルの推進を大前提に、高速炉の必要性を繰り返しますが、安全面でもコスト面でも多くの問題を抱えています。
核燃料サイクルの破たんを認めれば、青森県六ケ所村の再処理工場にたまった使用済み核燃料が各原発に返されかねません。“資源”だとしてきた各原発の使用済み核燃料は“ゴミ”となります。
行き場のない核のゴミの問題を先送りするための核燃料サイクル政策。その破たんを取り繕うために不要な高速炉開発に国費をつぎ込むことは、もうやめるべきです。(松沼環)