しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年12月16日(日)

主張

与党税制改定大綱

大企業いいなりのばらまきだ

 安倍晋三政権の与党、自民党と公明党が、2019年度の税制改定の大綱を決めました。19年10月からの消費税の10%への増税を「確実に実施する」前提で、売り上げに影響するとされる自動車や住宅への減税措置などで、業界やメーカーの要望に応えています。自動車や住宅を買わない人には関係なく、庶民には消費税増税に加え、「増税対策」と称して行われる負担ものしかかります。消費の落ち込みが心配というなら、大企業いいなりのばらまきでなく、増税そのものをやめるべきです。

減税は財界献金の見返り

 与党の税制大綱は、消費税増税と同時に行われる食料品などの「軽減税率」導入の財源について、昨年の所得税等の増税分と、増税4年後に導入される「インボイス」制度などで賄うと明記しました。仕入れにかかった税額などを取引先に通知する「インボイス」は、零細な免税業者は発行できません。取引からの排除を恐れる免税業者が課税業者になり、納税することによる2000億円規模の増収を見込みます。

 「軽減税率」は、税率を据え置くだけで「軽減」でも何でもなく、酒類のみりんは10%、食料品のみりん風調味料は8%の税率になるなど、制度を複雑にして、混乱拡大は必至です。そのうえ零細業者を苦しめるのは許せません。

 与党税制大綱には大資産家を優遇している株式売却益への一律20%の課税や資産課税などの見直しは盛り込まれていません。

 大綱が打ち出した自動車減税は、消費税増税後の購入者に自動車税を割り引き、取得税も廃止して「環境性能割」の税率も軽減するなどです。新車を買わない限り税金は安くならず、自動車を買わない人にも恩恵はありません。住宅ローンのある世帯への減税も、新規購入や増改築に限っており、借家住まいを続ける人や、増改築しない人には無関係です。

 自動車メーカーでつくる日本自動車工業会は消費税増税後の自動車税の「十分な軽減」を申し入れ、不動産協会も「住宅ローン減税の拡充」を求めていました。先日発表された17年の政治資金収支報告書によると、自動車工業会は自民党の政治資金団体・国民政治協会に8040万円、不動産協会は4000万円献金しています。財界いいなりの減税は、そうした献金の見返りともいえます。

 与党税制大綱ではこのほか、大企業を対象にした法人税の「研究開発税制」も、大企業同士が委託研究した場合も税優遇の対象に加えるなど、拡充することにしています。これも日本経済団体連合会(経団連)などが要求していたのを受けたもので、大企業奉仕の税制改定の姿はあらわです。

消費税に頼らぬ税財政を

 低所得者ほど負担が重く、消費を冷やし景気を悪化させる、消費税の増税は中止すべきです。

 日本共産党の試算では、消費税を増税しなくても、大企業に中小企業並みの負担を求めるだけで4兆円、株式売却益への低い税率などで年収1億円を超えれば負担率が逆に下がる、所得税の不公平を正すだけでも1・2兆円の財源が生まれます。

 消費税に頼らない税財政の実現へ、来年の統一地方選挙、参院選挙で安倍政権に審判を下し、退陣に追い込むことが必要です。


pageup