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2018年12月7日(金)

自然増1000億円超圧縮へ

薬価下げ 医療拡充に充てず

来年度の社会保障費

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 安倍政権が2019年度予算案で、高齢化などに伴う社会保障費の「自然増」分を5千億円未満に抑える詰めの調整を進めています。19年度に見込んでいる6千億円の伸びを1千億円超も削り込むもので、16~18年度に毎年5千億円まで圧縮してきた従来目標を超える削減となります。

 社会保障費の自然増分は、医療・介護など現行制度を維持するのに必要な予算です。にもかかわらず安倍政権は12年末の政権復帰後6年連続で「自然増」削減を強行。19年度は▽薬の公定価格(薬価)の値下げ▽一定所得以上の40~64歳が支払う介護保険料の段階的引き上げ▽中小企業の従業員が加入する「協会けんぽ」の国庫補助削減―で計1千億円程度を捻出する考えです。財務省はさらなる削減を迫っています。

 薬価については、厚生労働省が5日発表した調査結果によると19年10月に狙う消費税増税と併せて行う改定で、約400億円を削減する見通しです。

 医療機関は薬や医療機器の仕入れ時に支払った消費税が非課税扱いで患者に転嫁できないため、国が薬価を含む診療報酬に増税分を上乗せします。薬価は市場価格との差も是正するため、差し引きで値下げになる形です。

 この値下げ分は医療機関が経営努力で生み出すもので、地域医療体制の立て直しにこそ充てるべきなのに、「自然増」削減を優先させる構えです。

 そもそも、診療報酬全体を14、16、18年度の3回連続で実質引き下げたことや、14年度の消費税増税(5→8%)に伴う診療報酬の補てん不足(特定機能病院は1施設あたり年9千万円も不足)が多くの医療機関の経営に打撃を与えています。10%への消費税増税はきっぱり中止したうえで、診療報酬を20年度改定で抜本的に引き上げるなど社会保障の拡充こそが求められています。


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