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2018年12月1日(土)

入管法改定案に対する仁比議員の質問(要旨)

参院本会議

 日本共産党の仁比聡平議員が28日の参院本会議で行った出入国管理法改定案に対する質問(要旨)は次の通りです。

 総理は7日の本院予算委員会で、技能実習について「いまでも9割の方々は、まさに目的に沿った形で日本で技能を身につけ、母国に帰ってその技能を生かして活躍している」と答弁されました。その根拠は何ですか。

雇用の調整弁に

 労働基準監督署が技能実習先事業所に行っている監督指導で、労働基準関係法令違反が明らかになった事業所は、平成29(2017)年、監督指導を実施した事業所の70・8%にのぼります。しかも監督指導を実施できたのは、4万8033事業所のわずか12・4%にすぎません。外国人労働者を単なる労働力、雇用の調整弁として扱い、深刻な人権侵害を引き起こしてきたことに、何の反省もないのですか。その政府に、新たな受け入れ分野や基準も白紙委任せよというのは、もってのほかではありませんか。

 政府与党は、新たな在留資格特定技能1号と技能実習は「別の制度」と言いますが、技能実習生をそのまま特定技能に移行して働かせ続けたいというのが本音ではありませんか。

 政府が示した「新たな在留資格による人材不足・受け入れの見込み数」によれば、初年度は4万7550人、14業種のうち13業種が技能実習からの移行を前提とし、その多くが80%~ほぼ100%を見込んでいます。どのような実態把握と検討の上で積算したのですか。

 平成29年・7089人にのぼった失踪実習生2870人からの聴取票は、野党議員が書き写した884枚だけでも86%以上が最低賃金割れであり、暴力やセクハラの実態も浮き彫りになっています。これは、そのまま特定技能への移行が見込まれることになる技能実習制度において、多くの実習生がどのような状態におかれ、受け入れ機関やブローカー介入がどのような実態かを検証する法案審議の土台です。全ての個票を国会に提出すべきです。

 技能実習制度をめぐっては、ブローカー排除のための2国間取り決めが進められてきました。新たな特定技能1、2についてはどうか。法案担当者の説明では、2国間取り決めはまったく想定されていないといいます。それは技能実習制度における適正化の取り組みを覆すものです。母国での特定技能の評価や試験、送り出しなどの実施体制は、民間の問題となってしまい、ブローカーや中間搾取を排除できないのではありませんか。

労働条件改善を

 技能実習制度とならんで、いまや低賃金の人手不足分野への「出稼ぎ労働」と「人材ビジネス」の抜け道、温床となっているのが留学生の資格外活動です。

 2017年、自民党一億総活躍推進本部は「誰もが活躍する社会を作るPT提言」で、留学生の28時間規制を緩和して労働力不足を補おうと提言していますが、これをおしすすめるのですか。

 そもそもわが国の深刻な人手不足の要因は劣悪な労働条件にあります。それをそのままにして外国人労働者の受け入れで補おうとすれば、我が国の構造的な低賃金・低単価を固定化し、人手不足現場の困難を逆にひどくすることになるのではありませんか。

 徹底した国会審議こそ尽くし、本法案は廃案にすべきことを強く訴えます。


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