2018年11月28日(水)
正社員と非正規 格差を容認
労政審部会が省令・指針承認
待遇引き下げは認めず
労働政策審議会の同一労働同一賃金部会は27日、正社員とパートや派遣など非正規社員との待遇差に関する「同一労働同一賃金」の省令と指針(ガイドライン)を承認しました。「働き方改革」一括法を受けて格差を容認する一方、国会の付帯決議などが一部反映されたものとなりました。
指針では、「管理職コースの正社員は、同じ仕事をするパート社員の助言を受けて働いていても給与が高い」などのケースは「問題にならない」と容認。賞与も支給ゼロは問題とするものの、「会社への貢献」に応じて格差を認めています。
通勤手当などは同一支給としていますが、パート社員が採用された区域外へ転居した場合、通勤手当は採用区域内分だけで問題がないとしています。勤務地変更がないパート・有期雇用労働者の待遇改善につながらない問題を抱えています。
一方で、国会付帯決議を踏まえて、正社員の待遇を引き下げて格差を解消することは「望ましい対応といえない」とし、非正規労働者の待遇改善によって格差是正をはかる目的を明確にしました。
新たに待遇の低い社員をつくっても、その他の社員と比べて「不合理な待遇の相違等を解消する必要がある」として、“格差是正逃れ”を認めないことにも言及しました。
また、定年退職後の再雇用に関する最高裁判決を受け、「さまざまな事情を総合的に考慮し判断する」と指摘。継続雇用だからといって「直ちに待遇の相違が不合理でないとはならない」との考えを示しました。
派遣労働者については、過半数組合や過半数代表と協定を締結する方式でもよいと規定。その場合は、公的統計にもとづいて同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金額と同等以上とすると定めました。しかし、この基準賃金については勤続年数が短いほど低くしており、待遇改善に逆行するものです。
この日の部会で労働側は「賃金改善に確実に結びつくことが肝要だ」と述べました。