2018年11月28日(水)
災害に弱い広域水道
倉林議員 地域水源使う分散型こそ
参院厚労委
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日本共産党の倉林明子議員は27日の参院厚生労働委員会で、地方自治体が担う水道事業の広域化や民営化をねらう水道法改定案をめぐり、広域化への過度の依存により災害へのリスクが拡大している実態を明らかにしました。
倉林氏は、6月の大阪北部地震におけるライフラインの被害調査を行った土木学会地震工学委員会の報告では、広域水道への依存度の高さや自己水源の不足が指摘され、バイパスの確保と浄水場やポンプ場の耐震化による分散的な貯水機能の向上が提案されていることを紹介。地域の自己水源を生かした地域分散型の水道システムへの転換を求めました。
山口・周防大島町では10月に発生した大島大橋へのタンカー衝突事故によって水道管が破損し、町の全域で断水が現在も続いています。倉林氏は、独自の水源を廃止し広域事業団の水道一本に依存していたことが長期の断水を招いた最大の要因だとして、「大都市でも離島でも、広域化に依存しすぎると災害に弱い水道になる」と指摘しました。
根本匠厚労相は「複数の水源や複数の水道管の給水を可能にしておく観点も重要だ」とする一方で、広域化により「災害にも強い水道を目指していく」などと強弁しました。
倉林氏は、これまで地方自治体からの要請によるものとしていた水道事業の広域化が、改定案では都道府県が区域の策定や協議会を組織し市町村には協議結果の「尊重義務」が生じることについて、「市町村が簡易水道で自己水源を守ろうとしても選択肢がなくなる」と批判しました。
政府が簡易水道の補助制度の打ち切り期限を2019年までと区切り、統合を推し進めてきたことを批判し、期限の大幅延長と新たな財政措置を求めました。
改定案について与野党は同日の理事会で29日の参考人質疑と対政府野党質疑で合意。与党からは29日の採決が提案されましたが、野党側が反対し、合意には至っていません。