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2018年11月25日(日)

主張

与党の消費税対策

増税の混乱を広げるばかりだ

 安倍晋三政権が強行しようとしている来年10月からの消費税率の8%から10%への引き上げに向け、自民・公明の与党が相次いで対策を提言しました。「軽減税率」の周知やカードで買った場合の「ポイント還元」、「プレミアム付き商品券」の発行などです。政府も対策を検討しており、安倍首相は増税対策などを盛り込んだ第2次補正予算案の編成や、「ポイント還元の5%」実施を増税時から東京五輪までの9カ月間とするなどを指示しました。来年の統一地方選や参院選を気にして政権は対応に躍起です。しかし、必要なのは消費税増税をやめる決断です。

手間も費用もさらに増え

 22日に安倍首相に提出された自民党の提言は、消費税増税の「理解の促進」や日本経済の「潜在力の向上」を前提に、増税時の「臨時・特別」の措置として、マイナンバーカードを持つ人へのポイント加算や、「軽減税率」の実施への支援、自動車・住宅購入時の減税などを並べ立てています。自民党より一足早く首相に提出された公明党の提言も、「軽減税率」の「円滑な実施」やプレミアム付き商品券の発行などを盛り込んでいます。いずれもこれまで言われてきた対策をまとめたもので、「新味」はほとんどありません。

 問題は、これらの対策が増税による消費者や中小業者の負担を緩和するどころか、逆に費用や手間を増やすものばかりで混乱にさらに拍車をかけるということです。

 食料品などの税率を8%に据え置く複数税率の導入は、軽減でも何でもありません、逆に外食は10%の税率で持ち帰りは8%になるため、飲食施設のあるスーパーやコンビニでの混乱は必至です。小売店にとっては複数税率に対応する専用のレジを準備する必要があり、その費用も深刻です。

 「キャッシュレス決済」でのポイント還元や、マイナンバーカード利用者に買い物で使える「自治体ポイント」を加算するなどの対策も問題です。キャッシュレス決済やマイナンバーカードそのものが広がっていません。マイナンバーカードの自治体ポイントに至っては導入している自治体はごくわずかです。消費税増税を機に、カード会社をもうけさせるキャッシュレス決済や、個人情報保護に懸念があるマイナンバーカードの普及を進めようというのは、「上から目線」の悪らつなたくらみです。

 公明党が熱心な、購入金額以上買い物ができるプレミアム付き商品券の発行というのも、これまで増税のたびに持ち出されてきたものです。これが新たな消費の拡大につながらないことは政府自身も認めています。自民党内でも異論が強く出されたといわれるのに、公明党の強い要求で政府の対策には盛り込まれようとしています。

「10%増税」自体の中止を

 最近の新聞の世論調査でも、消費税の増税そのものに「反対」が47%で、「ポイント還元」には60%が「反対」しています(「毎日」19日付)。マイナンバーカード利用者にポイントを与えるという対策に66・2%が「反対」しています(「産経」20日付)。

 低所得者ほど負担が重い消費税増税は、深刻な消費不況の中、景気をさらに後退させ、格差と貧困を広げる最悪の政策です。対策にきゅうきゅうとするのでなく、増税はきっぱり中止すべきです。


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