2018年11月21日(水)
原賠準備額 維持に懸念
衆院委参考人 改定案“責任逃れ”
高橋議員質問
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衆院文部科学委員会は20日、原発事故の賠償制度を定めた原子力損害賠償法(原賠法)の改定案について参考人から意見を聞きました。参考人からは改定案への疑問や批判の声が相次ぎました。
改定案は、過失の有無にかかわらず、電力会社が上限なく、全ての賠償責任を負う「無過失・無限責任」を維持しています。しかし、事故に備えて電力会社に義務付ける「損害賠償措置額」は、東京電力・福島第1原発事故前の1200億円のままです。それを超える分は、福島原発事故では国費と電気料金への上乗せで東電に資金援助され、負担が国民に転嫁される仕組みです。
脱原発弁護団全国連絡会の河合弘之共同代表は「東電の損害賠償額は8・6兆円に上る。賠償額を据え置くことは、電力会社の責任を免除することと同義だ。採算が取れないと言うなら原発を断念すべきだ」と批判しました。
東洋大学の大坂恵里教授は、原賠法の目的に「原子力事業の健全な発展に資する」と記されており、電力会社の賠償に上限を設ける「責任の有限化の議論が再燃する」と懸念を表明。「被害者保護と併記されるべきではない」と指摘しました。
大坂氏は、東電が被害者との和解仲介案を拒否する事例が多発しているとして「(和解仲介案の)受諾義務を課すような制度設計を検討すべきだ」と求めました。
日本共産党の高橋千鶴子議員は原子力損害賠償紛争審査会の指針を超える被害について、東電が被害者側に「因果関係」の立証を求めていることに対し「加害者が基準を決めるようなことを許していいのか」と質問しました。
大坂氏は「指針は最低限であるのに、東電はあたかも最高基準のように運用している」と答えました。河合氏は和解案が東電に対して強制力を持つような法改正を提起しました。