2018年11月20日(火)
“教員 国予算で増員を” “授業数削減が大前提”
長時間労働是正 意見相次ぐ
中教審分科会
文部科学省の中央教育審議会初等中等教育分科会は19日、分科会の特別部会に示された教員の長時間労働の是正策に関する文科省の「答申骨子案」について議論しました。学校現場に携わる委員から、教職員定数の抜本増や授業時数の削減こそ必要だとの意見が相次ぎました。
種村明頼・全国連合小学校長会会長は、週5日制に移行した際に土曜日の授業が平日に回されたことが現在の長時間労働の背景にあるとし「その削減が大前提なのに(骨子案は)そのことに全く触れず、教員の意識がどうだと議論している」と指摘。「今回いろいろ手だてを打っていただいていることは評価しているが、それだけでは、この国の教育は危機的な状況になる」と訴えました。
笹のぶえ・全国高等学校長協会会長は、教員の労働時間管理が改革の中心になると教育の質の低下や公教育の役割の縮減につながるとし「人材確保、予算確保という形で『働き方改革』を進めてもらいたい。それがなければ教育の格差を生むことになる」と強調。吉田晋・富士見丘学園理事長も「小学校の先生の勤務を楽にするには教員を倍にするしかない。国が『働き方改革』と言う以上、国がお金を出して人材を確保すべきだ」と主張しました。
一方、現場の教職員から強い批判が上がっている1年単位の変形労働時間制の導入について、複数の委員が「答申の目玉」とするよう主張。文科省の合田哲雄・初等中等教育局財務課長は、特別部会で反対意見や懸念が出ていることには触れずに、変形制で夏休みにまとまった休みがとれるようになれば教員志望者にとっても魅力になるなどとし「しっかり説明していきたい」と応じました。