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2018年11月20日(火)

日産ゴーン会長逮捕

巨額報酬 過少記載疑い

人員4万人削減の“張本人”

東京地検

 日産自動車(本社、横浜市)会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)と代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)が有価証券報告書に虚偽の記載をした疑いがあるとして東京地検特捜部は19日、金融商品取引法違反容疑で逮捕しました。日産は同日、ゴーン容疑者が自らの報酬額を過少に有価証券報告書に記載していたと発表。同社の資金を私的に支出するなど複数の不正行為があったことも明らかにしました。(関連記事)

 逮捕容疑は、有価証券報告書に合計約99億9800万円の報酬を49億8700万円と虚偽記載するなどした疑いです。

 日産によると、同社は内部通報をうけ、ゴーン容疑者とケリー容疑者の不正行為を内部調査していました。これによると両容疑者は、開示されるゴーン容疑者の報酬額を少なくするため、長年にわたり実際の報酬額より少なく有価証券報告書に記載していました。

 また同社は、ゴーン容疑者が同社の資金を私的に支出するなど「複数の重大な不正行為」があったと発表。この不正行為にはケリー容疑者も深くかかわっているとしています。

 1億円以上報酬を得ている役員の情報開示は、09年度(10年3月期)から始まりました。ゴーン容疑者の報酬は、09年度が8億9100万円です。それ以降は13年度まで9億円台で推移。14年度から16年度までは連続して10億円を超えていました。

 日産は17年秋に、新車の完成検査をめぐる不正が発覚。17年度の有価証券報告書には、ゴーン容疑者の報酬が前年比3割減の7億3500万円と記載されていました。

 ゴーン容疑者は00年、日産の社長に就任。03年に同社の社長と会長を兼任。05年には、仏自動車メーカー「ルノー」社長を兼ねました。16年には三菱自動車の会長にも就任しています。三菱自動車でも17年度に2億2700万円の報酬を受けています。

 日産はゴーン容疑者とケリー容疑者の解職を、取締役会にすみやかに提案するとしています。

リストラと派遣切りの「コスト・カッター」

 日産自動車のカルロス・ゴーン容疑者は、経営責任を労働者や下請け企業に転嫁し、大量の人員削減と工場閉鎖、下請け企業の切り捨てを進め、「コスト・カッター」と呼ばれました。

 1999年には最高執行責任者として「日産リバイバルプラン」を打ち出し、日本企業で過去最大規模の2万1千人にのぼる人員削減と工場閉鎖を強行。2009年にも「リーマン・ショック」を口実に、2万人もの人員削減や下請け企業の切り捨てを進めました。

 正社員のリストラとは別に、人件費削減のため大量の派遣労働者など非正規雇用労働者を開発部門の中枢にまで導入して働かせて収益をあげてきました。ところが、09年には収益減を理由に神奈川県のテクニカルセンターで技術派遣3000人を一斉に契約解除するなど非正規労働者の使い捨てを行いました。

 数々の派遣法違反や契約更新の繰り返しで本来なら正社員化しなければならないのに、「派遣切り」「非正規切り」を強行。寮からも追い出された多くの労働者が路頭に迷う事態となり、大きな社会問題になりました。

 労働者や下請け企業に犠牲を転嫁して業績回復を果たすたびに、報酬はうなぎのぼりとなり、株主総会でも疑問が出されましたが、「厳しい課題にリスクを負っており、報酬は高くないとおかしい」(2005年)と開き直ってきました。


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