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2018年11月18日(日)

主張

消費税10%論議

増税の口実は崩れ去っている

 安倍晋三政権が来年10月から10%への引き上げを目指す消費税増税をめぐる論議が国会内外で本格化しています。消費税は30年前の1988年に導入の決定が強行され、89年4月に税率3%で開始されて、5%、8%と引き上げられてきました。「安定財源の確保」や「社会保障対策」が理由でしたが、実態を見ればそれらは破綻し、増税のたびに消費の落ち込みや景気の悪化を招いてきました。導入・増税の口実が崩れ去った消費税増税は直ちに中止すべきです。

8割は大企業減税に

 1960年代から歴代政権が、「付加価値税」や「売上税」の名で導入しようとした大型の間接税が、「消費税」という名前で強行されたのは、竹下登政権の時代です。当時の政権は、国民が「広く、薄く」負担する消費税は「公正・公平」な税金で、「安定」した税源になると宣伝しました。

 ところが消費税は生活必需品を含め原則としてすべての商品とサービスに課税されるため、低所得者ほど負担が重い逆進的な税金です。消費税導入と同時に直接税と間接税の比率(直間比率)を「是正」すると称して、所得税や法人税の最高税率引き下げや所得に応じ税率を引き上げる累進制の「緩和」がされたため、大企業や高額所得者の負担は減りました。

 消費税導入から2017年度までの消費税収は累計349兆円に上るのに、減税などによる法人税の減収は281兆円です。消費税収の8割は法人税減税・減収の穴埋めに使われ、税源として役立っていません。12年末に政権復帰した安倍首相は、14年4月に消費税率を5%から8%に引き上げましたが、安倍政権だけでも大企業に4兆円以上の減税をしています。格差拡大はもうやめるべきです。

 政府は国民の批判をごまかすために、消費税法に「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てる」と書き込みました(1条2項)。安倍政権も消費税を8%に引き上げる際、「消費税収は、社会保障にしか使いません」と大見えを切りました(13年10月の記者会見で)。

 ところが実際には、消費税を導入し増税を重ねても、社会保障は改悪に次ぐ改悪の連続で、安倍政権になってからの6年間だけでも、高齢化などで必要な社会保障予算のカット(抑制)や年金、医療、介護の制度改悪で、社会保障予算は3・9兆円も削減されました。一方、毎年増え続けた軍事費はついに5兆円を突破しました。「社会保障のため」というのは真っ赤なウソです。

零細業者に身銭切らせる

 安倍政権は来年の増税の際、食料品などの税率を据え置く複数税率導入やカード利用で「ポイント還元」を行うといいます。制度が複雑で混乱が拡大しています。

 消費税は販売価格に上乗せした税額から仕入れにかかった税額を差し引いて業者が納税する仕組みです。23年から仕入れ時の税額を取引先に通知する「インボイス」が導入されます。通知を発行できないと取引を断られる危険があるため、年商1000万円以下の免税業者も課税業者になって、身銭を切ってでも納税することを事実上強いられます。

 “百害あって一利なし”の消費税増税は、中止しかありません。


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